今回は久々の名機シリーズですよ~。
タイトルの通りですが、おそらく世界で一番有名な羊頭のアイツ。
今回製作するエフェクターはこちら。
BIG MUFF π RAM'S HEAD
以前にBOSS OD-1を製作したときにお話ししましたが、世のWEBサイトに数多ほど情報があり、私なんぞがお手軽にお話しするようなシロモノではないです(笑)
もうね、私には年代によって音が違うとか勉強不足でチンプンカンプン。
そもそも私は足元にBIG MUFFを置いたことは一度たりともありません。
そんなもんでBIG MUFFの自作はかなり敬遠してました。
でも今回はがっつり作ってやりますわ!
BIG MUFFはもちろんご存知のElectro-Harmonixが手掛けたエフェクターです。
そもそもはFoxy LadyというFUZZをギルドブランドで出してたんですが、1971年頃に看板商品の「BIG MUFF」を製作。長いシリーズを経て今も全世界で愛されるエフェクターとなっていきました。
設計者はマイク・マシューズというお方。
ELECTRO-HARMONIX EHX 9V BATTERY ×12個セット 9Vマンガン電池
一度は目にしたことあると思いますが、超有名なこの人!
なんで自社の9V電池に自分の写真使おうと思ったのかは謎ですが(笑)
さて、BIG MUFFはシリーズが出過ぎててどれがどれかよく分からんわ!ってのが私の感想。BIG MUFF Triangle、BIG MUFF π RUM'HEAD、BIG MUFF π、BIG MUFF RUSSIANなどなど...
追っていけばキリがないほどの種類があります。
今回はそんな中から恐らく一番人気なRUM'S HEADを製作しようと思います。
特に1973年の通称Vioretといわれるモデルが人気のようです。
まずは試奏動画をどうぞ。
まぁ今さら聴かずともお分かりですよね。
この図太いサウンド。ソロで踏むと気持ち良いんだろうな...
あ、今回製作するBIG MUFFはビンテージ部品とか一切使いません。
一概には言えませんが、世の中に出回ってるビンテージと呼ばれるもののサウンドって、当初の設計とは絶対に違った音になってるはずなんですよね。
部品ってのは劣化していきますし、定数も変化します。コンデンサなんかは容量が落ちてきて、意図したフィルターが正常に動作しないなんてこともしばしば。
ビンテージってだけで購入すると痛い目に合います。
今回は現在入手可能な、自作エフェクターによく使用している部品のみで製作していきますよ~
ではさっそく回路図を~
海外にはとんでもないサイトが存在します。
その名も「BIG MUFF π PAGE」というもの。
まぁ凄い。
もうね、あれだ。完全に狂っとる。
いったい何が彼らをそこまでさせるのか分かりませんが、完全に愛すべき馬鹿達です。
私が見た内でおそらく一番詳しいサイト。
RUM'S HEADだけ見てもいくつも回路図が出てます。
当時は試行錯誤しまくってたんでしょうね。
ちなみに回路についてもめちゃくちゃ詳しく書いてあるからGoogle先生に翻訳してもらいながら見たらめちゃくちゃ楽しいですよ~
BIG MUFFは基本的に4個のトランジスタから構成されており、
と続きます。
BIG MUFFはディスクリート回路なんですが、トランジスタの増幅方法ってのは過去の記事でもご紹介させてもらいました。
トランジスタはE(エミッタ)、C(コレクタ)、B(ベース)と3本の足がありますが、この足の接続方法によって設計が異なります。
①エミッタ接地
エミッタ接地とは、トランジスタを用いた増幅回路で一般的に組み込まれている回路です。
今回のBIG MUFFやFUZZ FACEなど、数多のエフェクターに組み込まれてきた回路。それがエミッタ接地。
E(エミッタ)は抵抗を介してグランドへ、C(コレクタ)は電源からの電圧を貰いながら次の回路へ、こうして増幅が行われるわけです。
BIG MUFFの場合、4段に渡って増幅しており、これによりあの強烈な歪みを作り出しているわけです。
トランジスタは電源~コレクタ間に接続された抵抗とエミッタ~GND間に接続された抵抗の比によって増幅率が変化しますが、BIG MUFFでは増幅率は固定されており、初段から二段目に入る過程で入力を絞ることで歪みを調整しています。
以前製作したLandglaff clean boostなんかだとエミッタ~GND間の抵抗を可変抵抗にすることで増幅率を変えてます。こういったところに設計者の拘りが詰まっていてホント面白いよね。
①コレクタ接地
E(エミッタ)から次の回路へ流れる場合は増幅しないのでバッファー回路で組み込まれています。
このような回路をコレクタ接地といいます。
BOSSとかIbanezとかcornishなどなど、数え切れない名機達に組み込まれているバッファーですが、実はその正体はトランジスタバッファー回路だったりします。
昨今ではバッファーの善悪を追及される猛者達が少なくありませんが実のところバッファー入りエフェクターからバッファーを抜くとほとんどの場合、本来の音は出ません。
なぜなら設計段階でバッファー込みで設計されているから。まぁ当たり前ですよね。
過去のギタリスト達がなぜTS-9やOD-1を愛してきたかって答えはここにある気がします。
話が逸れてしまいました...
トランジスタの話に戻りますが、C(コレクタ)、E(エミッタ)のどちらから出力するかによって変化するのは増幅だけではありません。
実は位相が変わってしまいます。
コレクタ接地では正相、エミッタ接地では逆相となります。
コレクタ接地では出力する位相が変わらず、出力インピーダンスも低く、増幅もしないからバッファー回路として広く愛されてきました。
逆にエミッタ接地では出力する位相が逆相となるため、2個のエミッタ接地を経て初めて正相となります。
今回の回路もエミッタ接地の回路が計4個なので、入力された時と同じ位相で出力されます。
じゃあなぜそんな面倒くさい回路使うの?って話になりますが、それは利得が大きいからなんです。
利得ってのは増幅量です。
そういう点からみてもコレクタ接地の恩恵ってのは大きいのです。
トーンはパッシブ回路なんですが、普通とは少し違います。
12時位置から左右にハイパス、ローパスを分けて配置することでTONEがどの位置でも使えるようになってるんですよね。
さてと、回路を追ってたら長くなってしまった。
次回は製作編!
ではまた~