最近ややこしいヤツばっかり作ってたから、
今回は久々にエフェクター自作初心者向けのエフェクター作っていきますよ~
今回作るエフェクターはこれ
EarthQuaker Devices / Acapulco Gold
どんっっ!!
そう、ワンノブです。
有名エフェクターメーカーEarthQuaker Devices(以下EQD)のペダルは代表jamie stillmanが設計しているのですが、過去に製作したDBA、Mid-fi electronicsと同様にバンドで演奏しながらペダル作っちゃいましたって人です。
なかなか独創的で飛び道具的なエフェクターが多いですが、どこかしら音楽的に聞こえてしまうのが凄い。
そんなEQDの中でも目を引くワンノブ。それがAcapulco Goldです。
これはパワーアンプディストーションと言われていますが、パワーアンプで限界まで増幅して得られる歪みを再現したものとの説明があります。
ほんとか?まずは試奏動画を見てみましょう。
ちなみにノブはボリュームになります。可変抵抗で制御しているためボリュームを上げていくとコンプ感や歪み量が多少変化します。
ゲインツマミは無く、公式の説明では歪み量はギター側のボリュームで調整してねってなことでした。
さて、コイツの回路図を見ていきましょうか。
回路図がこちら
う~ん、なんともシンプル。
LM386NというパワーアンプICを2段繋げた回路になります。
「パワーアンプディストーション」ってそういうこと?ってなりましたよ。
詳しく動作を説明しておきましょう。
エフェクターは回路図を読めるともっと面白くなるのでぜひおススメしたいです。
私は自作を始めた頃は回路図なんて読めず、ネットに掲載されたレイアウトだけを頼りに製作していました。
組み上がっても音が鳴らないなんつーことは日常茶飯事で、レイアウトの再確認くらいしか確認方法が無かったために何枚もの基板をゴミ箱に捨ててきました。
回路図を読めればレイアウトの整合性なども確認出来るし、回路の動作が分かるようになれば鳴らなくてもどこが悪そうってなアタリを付けられるようになります。
オリジナル回路の製作なんかも出来るようになるので、ぜひ色んな回路図でチャレンジしてみてくださいな。
回路図で使われる記号について
エフェクターの回路図で必ずと言っていいほど出てくる記号がこちら
沢山ある回路記号のごくごく一部ですが、エフェクターのアナログ回路ならこのくらいで事足ります。あ、トランジスタ系はN型、P型によって矢印の方向が変わるので注意しましょ。
もっと知りたい人はこちらのリンクから見てみて下さい。
それでは入力部から見てきましょう
ここは入力部~初段ICの部分になります。
入力された信号が一番最初に出会う1MΩの抵抗器。
これはプルダウン抵抗と呼ばれるものです。
トゥルーバイパス配線の場合、フットスイッチを踏むと「ボンッ!」って鳴るときありますよね。そうならないように配置されてます。
プルダウン抵抗は外しても使えますが、可能な限り付けといて損はないです。
次の10uFは入力から「低音をどの程度通すか」という役目。
電解コンデンサなのですが、「+」が後ろ側に付いています。
電気回路では当たり前なことなのですが、極性がある電解コンデンサは電位が高い方を「+」側にします。プルダウン抵抗の1MΩがあるので入力側は電位が低い状態になるためこういった配置になってます。
入力部のコンデンサは1uF以下のコンデンサを使用するエフェクターが大半なのであまり見かけませんけどね。
そしてLM386NというIC。これはパワーアンプICです。入力された信号を20~200倍に増幅して出力します。
詳しくはデータシートを確認すると良いでしょう。Googl先生に「LM386N datasheet」と検索すればたくさん出てきますよ。
そんで、このICは1番ピンと8番ピンの接続により増幅率を決めてます。
これはデータシートの一部ですが、Gain=200の図を示してあります。1番ピンと8番ピンの間に10uFのコンデンサを入れて接続することでGain=200になりますよ~って紹介してくれてます。優しいっすね~
そんで次、トーン回路
1uFのコンデンサはICからの出力からどのくらい低音を通すかを決めています。
そして68KΩと4700pFのコンデンサでローパスフィルターが形成されています。ここで余分な高音成分を取り払うようになっているんですが、カットオフ周波数が497Hzとなっており、ギターの信号ではほとんどこのフィルターを通過しないと思われる。
推測ですが、初段および次段のICにて発振してしまうことを防ぐために設置してあると考えられます。
そしたら出力段いきましょ
初段とあまり変わっていませんが、電解コンデンサが外されてGainが20に設定されています。推測するに、初段でがっつり増幅&歪ませているので200×20がちょうど良かったんでしょう。
そしてIC後の電解コンデンサ、これで出力する低音量を決めてます。
ここを小さくすればものすごくスカスカになりますのでおススメしません。
最後にボリュームがあります。この可変抵抗で分圧回路が形成され、音量が変化します。また、信号が一定量の抵抗を通過することにより音質も若干変化しますが、微々たるものでしょう。
この部分もよくある回路ですね。
最後に電源部
ここはいつもの通りです。
1N4001は整流ダイオードです。電流を一定方向にしか流さない頑固なヤツですね。
これがあることにより、センタープラスを繋いじゃったりした場合に回路が壊れないで済みます。
接続方法には上の回路のように電源とGNDの間で配置する方法と電源部に直列配置する方法があります。
直列配置したほうが安全なのですが、若干電圧が下がります。
上図のように接続すれば電圧は下がりませんが、逆接続時に完全に防ぐことができず部品が壊れる場合があります。
音にどれだけ影響するかといえば,,,さほどないでしょう。
最近ではここのダイオードにショットキーバリアダイオードを直列に配線して保護回路を保ちながら電圧降下を可能な限り少なくする方法もちらほら見受けます。
まぁここはお好きにどうぞ。
それからバイパスコンデンサの100uFがあります。電源を安定させ、余分なノイズを除去します。必要ならここに0.1uFくらいのセラミックコンデンサを平行に接続しておくと尚良いでしょう。
バイパスコンデンサは正直なところ無くても動作します。が、やはりおススメしません。ノイズが結構乗るんですよね...
LEDはいつものとおり、電源からの電圧を抵抗器で制御してLEDに流しています。
LEDに9Vを直接入力すると一瞬だけめちゃくちゃ光って壊れてしまうので注意しましょ。
はいこれでAcapulco Goldの回路は終わり!
もう回路図を読めるようになったでしょ?
少し面倒臭いけど、やってみると結構面白いですよ。
長くなってしまったので製作は次回!
レイアウトなんかも次回!
年内には製作したい!
ではでは~