音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【修理】諦めるな!そのエフェクターはまだ蘇る!①

先日、とある出会いから知り合ったミュージシャンの方からお話がありました。

「壊れたエフェクターがあるんやけど直せる?」

 

まぁ、試してみたくなりますね(笑)

そんなわけで複数台お預かりしたので、こちらを題材にしてみようと思う。

 

 

修理って何するの?

エフェクターの故障は大きく分けて3つあります。

  • ツマミ、ジャック、スイッチ周りの物理的な破損
  • 基板構成部品の劣化、寿命などによる故障
  • 配線の断線

どれに該当する故障かによって難易度が異なりますが、基板部品の故障辺りが一番難しいです。物理破損なら目で見てすぐに分かりますが、基板に取り付けてある部品は値を測定したり、実際に載せ替えてみないと分からないものもあります。

今回は私なりの修理の仕方をお話しましょう。

 

 

まずは現状確認

今回お預かりしたエフェクター1台目がこちら

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なかなか珍しいエフェクターです。

FUZZなんですが、Devi EverのHYPERIONって名前です。

なんとこのエフェクターはあの超有名エフェクターBIG MUFFで「やりたかったことをする」ってのが謳い文句になってます。

別名がマフキラー、どんだけだよ(笑)

 

内部がこんな感じです。

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スイッチの部分を見てください。はい、いつも通りのトゥルーバイパス配線ですね。基板はおそらく複数台のエフェクターで兼用にしていると思われます。

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表記されているところに部品がなかったり、真ん中の黄色いコンデンサは抵抗を跨ぐとんでもない状況になってます(笑)

このエフェクターの現状を見ていきましょう。

ヒアリングした内容と本体の状況から故障箇所を探っていきます。

所有者の方からはスイッチの故障と聞いていました。

まずはアンプにつないでスイッチオン、あれ?普通に鳴る?LEDも光る?

なぜだろうと思いながら何度かスイッチングを連続して行うと、4割くらいの確率でON時に音が出ないことが判明。

さらに繋げた状態でどこまで信号が来ているか(アンプ側と繋がっているか)を確かめたところ、OUTPUT側の端子から順に触っていくとスイッチ部分で信号が途切れていました。ねんのためスイッチ部の導通を確認。

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この部分が導通していないことが判明。

ここは基板から出力された信号をOUTPUTへ繋ぐ部分なのでON時のみ音が出なくなります。

ちなみに両脇の列は正常に導通している為、LEDは光りました。

部品の故障なので交換すれば直ります。同等品の3PDTスイッチを購入してきて交換しました。

今回配線してあるトゥルーバイパス配線がこちら

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いままで紹介してたヤツとは少し配線が違いますが、まぁ動作としては何ら変わりはありませんのでやりやすいヤツ選んでくださいな。

 

 

次は分解!

部品交換するにあたり、本体を分解していきます。

ここで注意点があります。よっぽど内部構造を知っている場合を除き、基本的にはすべて部品のナットを外してから分解しましょう。

不用意に取り外すと表側では見えない配線があったり、はんだが弱っている部分があったりすると壊れる原因になります。

せっかく修理してるのに壊してたら意味ないっすよ~

今回はお預かりしているエフェクターなので慎重に作業を行います。

取り外した状態がこちら

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ネジ、ナットなどの小物は種類別に分けて保管しましょう。

修理した後で「無くなった!?」なんてことになります。

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100円均一の小物ケースやピルケースなんかでも使えますから1個持ってて損はないです。

 

ちょっと横道に逸れますが、ナットに表裏があるのをご存知ですか?

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この写真のうち、左側が表、右側が裏になります。

左側は淵の部分が若干丸くなっていますが、右側はまっすぐになっています。

丸くしてある理由としては「工具が入りやすい」「ぶつかったときに怪我や破損を防ぐ」などがあります。

逆に平たくしている理由は密着度を高めて緩みにくくするためです。

フットスイッチやフォンジャックなどモノによっては両面とも丸くしてあったりしますが、取り付けの際は確認するようにしましょ。

 

さてと、交換後の写真がこちら

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なんも変わっとらんやんけ!

まぁ、スイッチ変えただけですからね(笑)

 

 

では修理後の確認を

今回は「4割程度の確率でスイッチONの時に音が鳴らない」状態だったため、同じ状況で操作しても故障が発生しないことを確認します。

 

まずは音が鳴るか確認します。

うん、バイパス音もエフェクト音も鳴ってますね。

ではここからスイッチング開始!

今回は50回ほどON/OFFを繰り返しても問題ないことを確認しました。

 

エフェクターってライブで使うじゃないですか、ステージの上で音が出ないなんて最悪なんで入念にチェックしましょう。

 

 

楽しみの試奏時間

なんか不思議なエフェクター、ゲインを上げると太い歪みがズバッと出てくるんですけど減衰音の中でFUZZらしいブツブツとした音が鳴り、途中でスッと消える感じ。これは面白い!

Youtubeに上がってる動画を一応載せときましょう。

youtu.be

回路の写真も撮らせてもらったので今度自作してみようかな。

また回路解析記事でも載せますね。

 

ちなみに、今回エフェクターをお預かりしたのは大阪のバンド「アバヨ」のVo&Gt今堀さん。このバンドめちゃくちゃカッコイイんすわ。

興味あればMV見てって~

youtu.be

 

 

とりあえず今回はここまで!

次回へ続く!

 

t-tone-works.hatenablog.com