音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【修理】Flashback Delay & Looperを修理した話

どもども、今回は修理のお話。

久しぶりに故障したエフェクターの修理依頼が入ってまいりました。

今回修理するのはこれ

Flashback Delay & Looper / TC ELECTRONIC

tc electronic ディレイ FLASHBACK 2 DELAY & LOOPER

 

先日、知人から「エフェクターが壊れたので修理してほしい」との相談がありました。

故障の話を聞いてみると...

  1. フットスイッチを押してもON/OFFにならない
  2. ONのランプが一瞬点いてすぐ消える
  3. 何回か押していると機能する

う~ん、これはフットスイッチの故障が濃厚ですね。

しかし、フットスイッチを押してみてギクリ...

「クリック感が無いパターンのスイッチか...」

物理スイッチ(3PDTとか)だと楽勝なんだけどなぁ...

直せるか分かりませんでしたが、一応預かることに。

 

まずは分解

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まずは分解して中の構造を理解しましょう。

このペダルの裏蓋って結構特徴的で面白いんですよね。

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でっかいネジがついてて10円玉とかで開けられるので電池交換も容易です。

さすがはTC ELECTRONIC、よく考えて製造されてます。

んで裏蓋を開けると...

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なにやらカバーが出現。

この先が基板のようです。

ここで注意が必要なのはカバーを止めているネジ。

六角レンチっぽく見えるんですが実は星形のドライバー、トルクスレンチって名前のネジです。ちなみに大きさはT10でした。

ktc.co.jp

このサイトに分かりやすい説明がありますんで参考までに。

いわゆる特殊レンチになるわけですが、一般の人に弄られないようにするためでしょう。

もちろん私はトルクスレンチを持っているので問題ありません。

 

さて、外すとこんな感じで基板が露出します。

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基板は黒いカバーを止めていたトルクスレンチ4本とジャックのナット4個で固定されていたようです。

外すと基板が浮き上がる状態になりました。

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基板とポットの基板が分かれており、コネクタで接続されてました。

こうすることで組み立てや検品などもやりやすくなってるんでしょうね。

とても実用的な構造です。

 

さて、本題のフットスイッチはと言いますと、

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こいつです。この青いヤツがフットスイッチになります。

基板に実装するスイッチなので小さいですね。

一番怪しいこいつの確認を行いましょう。

足が4本ありますが、2本づつの対になっており、スイッチを押すと繋がる構造となっています。

そのためテスターを足の部分に接続し抵抗値を測ると押した時は0Ω、離した時は計測不能となるはずです。

実際に測ってみるとスイッチを押しても0Ωにならないことが時々ある。強く押すと0Ωになる。ということが判明しました。

これで、このスイッチが原因で発生していたと判明しました。

 

部品を手配

できれば同じ部品を手配したいなぁ...なんてことを考えながらGoogle先生を起動。

ちなみに、このスイッチはタクトスイッチって名前が一般的です。

タクトスイッチで画像検索、同じようなヤツないかなぁ~

なんと、ありました!

SKHCBKA010 | SKHCシリーズ 12mm角 スナップインタイプ | アルプスアルパイン | MISUMI-VONA【ミスミ】

どうやら、アルプス社製の基板実装部品だったようです。

早速発注、このMISUMI-VONAって部品屋さんは発注したら翌日発送でとても親切でした。

 

故障部品を外す

さて、基板に配置された部品を外します。

ここが一番難しいんですよね。なんてったってこの基板は両面基板。

溶かした半田が基板の表裏両方に流れている関係で、半田を吸い取りにくいんですよ。

入熱しすぎて基板が焼けたり、パターンがショートしたりする可能性もあるので注意が必要です。

私には秘密兵器があるので問題ありません。

それがこれ、HAKKO474という半田吸い取り機。

https://www.hakko.com/japan/products/hakko_474.html

これね、温めながらスイッチ一つで半田を吸い上げることができる優れモノ。

生産中止ですけどね。

 

さて、基板に入っているはんだはなかなか溶けない場合が多いので、外したいはんだに少しは追加ではんだを入れてやりましょう。

そうすることで万遍なく溶けてくれます。

はんだを除去したらパターンやランドが捲れたりしないように注意深く外していきます。

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はい、きれいに外れました。

 

部品実装

さぁ部品が到着しました。

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左が故障部品、右が新品の部品。

全く同じものでしたので一安心。

早速基板に取り付けていきます。

新品の部品は足が少し広がってたりするので位置を修正しつつ基板に取り付けます。

しっかり奥まで入ったらはんだ付けして完成!

表側にもはんだが流れてしっかり固定出来ています。

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電源に繋いで確認してみるとスイッチ動作で正しく動作しました。

元の状態になるように組み立てて再度確認。

問題なし。

これにて修理完了!

 

エフェクターを一から作るのも楽しいんですけど、壊れたエフェクターが直るってのも楽しいんですよね。

難易度は高いですが、自作とは違った達成感があるので好きでなんですよ。

 

最後に

故障したエフェクターを「自分で直す」というのはかなりハードルが高いです。

  1. 故障個所の特定
  2. 部品手配
  3. 部品交換
  4. 検査

これだけでも結構な時間が掛かります。

さらに今回のように多層基板で部品の取り外しが難しかったり、部品がショートして余計に壊れたり、下手したら感電して事故なんてことにもなりとても危険です。

家電とかもそうなんですが、メーカーさんが分解厳禁って言ってるところはこういう部分が大きいのではと思ってます。

自分で修理する場合はあくまで「自己責任」で、安全に十分注意しながら行いましょう。

 

次回はなんか製作しよかな~

ではでは~