あなたにはあるだろうか、
どうしてもペダルボードから外せない一生に一度、運命の出会いをしたエフェクター。
私の運命の出会いがこれ!
Boot-leg Rock'n Roll Party2.0!
※以下RRP2.0
このずんぐりむっくりした筐体、見覚えのある方も多いのでは?
私が最初にコイツに出会ったのはもう15年以上前、他人が弾いてたこいつの音をたまたま聴いて一目惚れ、即購入。(一応試奏したけどね)
以来、ずっと私のエフェクターボードに鎮座し居座り続けている猛者なのです。
今回は恐れ多くもこのエフェクターの回路を紹介しようと思います。
まずは試奏動画からどうぞ
最高でしょ?バリっとした感じとか歪み方とかもう最高なんですよ。
秀逸なのはRAVEツマミ。
こいつはトーンなんですけどどちらかというと周波数によって絞る場所を決めるような感じ。下げると低音の効いたズンズン系、上げると高音が目立ったバリバリ系です。語彙力が足りない...つらい...
歪み量も十分で最大まで上げるともうディストーションくらい、下げていくとクランチ辺りが非常に気持ちいいんですよ。
音抜けもよくてずっと弾いてられます。
なぜこのエフェクターがもっと普及しないのか、私は理解に苦しみます。
一応言っておきましょう。このエフェクターは現行機種です。
サウンドハウスで2万円以下で買えるで!!!
すみません、少し興奮してしまいました。
なにはともあれ、早速こいつをひん剥いてやりましょう。
内部写真!
部品少なっ!
特に希少な部品とかそんなんは使ってないみたいですね。真ん中左のICはパターンの感じからクアッドオペアンプのようです。
クリッピングには1N60を使ってますね。
歪み成分を作る部分なのでここを変えると出音が明らかに変わります。
エフェクターのクリッピングに使用されるダイオードって規格さえ合えばなんでも使えるんですけど、主なヤツだけ紹介しときましょう。
- 1N914(TS-9など)
- 1N34A(KLON Centaurなど)
- 1N4001~7(BOSS BD-2など)
- 1N4148(VEMRAM Jan rayなど)
こんなもんですかね。
ほかにもたくさんあるんで、いろいろ載せ替えてみるのも自作エフェクターの醍醐味ですね。
さてと、外観だけではよくわからないので次はトレースした回路図を見てみましょう。
回路図がこちら!
コイツはクアッドオペアンプ(4回路入)が搭載されてますが実際には3回路しか使用されてませんでした。
初段でバッファーが入り、2段目のオペアンプで増幅、3段目でトーン回路を通過して出力となってます。
まずは電源回路
よくある電源回路ですね。
最初のGNDに接続されている1N4002は極性保護です。
センタープラスのアダプターを入れた場合に守ってくれる門番みたいなヤツです。
そのあとに平滑回路とデカップリングコンデンサが続き、10KΩ×2本で分圧回路を形成してます。
この回路だと、VA+が9V、VB+が4.5V出力になります。
分圧回路はオペアンプで必要な電圧になります。
ここら辺を詳しく書くとなが~~~~~~くなるのでカット。
最初にバッファー回路
入力された信号が抵抗器とコンデンサを通過してオペアンプに入ります。
オペアンプの-側とOUT側が接続されています。これはボルテージフォロア回路っていうものなんですが、ギターなどの楽器はインピーダンスが高いのでここでインピーダンスを下げてます。KLON Centaurのバッファー回路もボルテージフォロアで構成されてます。
インピーダンスが何かって?
それも話せばなが~~~~~~~くなるのでカット。
続いて増幅回路
増幅段はよくある非反転増幅です。
VBに落ちる8.2KΩとGAINの1MΩとの比によって増幅率が決まり、その後に続くダイオードでクリッピングして歪み方を決めてます。
ここはディストーションの回路でよく見る設計ですね。
そしてトーン回路へ
はいここ、ミソ部分です。
この回路の場合、端折って言うとオペアンプの+から入力された信号とOUTから出力して-に戻る信号との差によって増幅が変化するんです。
そのためコンデンサと可変抵抗の組み合わせでトーン回路を形成してますが、配置があまり見かけない回路になってますね。0.022uFとVBに落ちる10K+可変抵抗の抵抗値によってハイパスフィルターが形成されているので高音域が落ちます。
高音域が下がるとオペアンプの増幅によって高音域を増幅させるのでバリバリとした音になります。
ちなみに、どのくらいの周波数の音をカットするかっていうのをカットオフ周波数といいます。抵抗値とコンデンサ値でカットオフ周波数を設定するときに計算方法があります。
ただ、スゲー面倒くさいんで私は毎回このサイトに頼ってます。
http://sim.okawa-denshi.jp/Fkeisan.htm
他にもいろんな計算ができるんで参考にしてみてくださいな。
上の回路図を例に出すと、
RAVEツマミが0状態ではVBに落ちる10KΩと0.022uFとなります。
その際のカットオフ周波数はこうなります。
fc = 723.43155950862[Hz]
RAVEツマミが10の場合、60KΩと0.022uFとなるためカットオフ周波数はこれです。
fc = 120.57192658477[Hz]
10の方が低い周波数帯からカットされているため、高音域が大きく増幅されてるようになります。低音は増幅段で増幅した部分がそのまま出るため、低音を損なわずに中高音域のブーストを行っている感じですね。
あと、10まで上げていくとOUTとーの間の抵抗が大きくなるので増幅率も変化します。
そのためRAVEツマミを上げると若干音量が変化しますよ。
最終段、出力回路
ここは簡単っすね。
電解コンデンサの10uFでどのくらい低音を出すかを決めてます。
そこからボリュームの可変抵抗があって出力になります。
よくあるパターンなんで説明不要ですね。
今回はここで終了!
いや~大好きなエフェクターなんですがなかなか広まってないんですよねぇ。
Boot-regはほんと良いエフェクター出してるから見つけたらぜひチェックしてみてほしい。
そして買って欲しい(笑)
今回のRRP2.0は過去にクローンも作ったりしました。
部品の種類変えたりして弾き比べとかすると尚さら面白くなってくるんですよね。
次はまた変態系エフェクターでも作りたいな...
それではまた次回~