最近、気になってるエフェクターがあります。
Twitterで流れてくるエフェクトボード画像に、何やら怪しげなペダル。
私の心を擽る外観。
今回作るエフェクターはこれ!
Life Pedal / Earthquaker Devices
中央の「初心」が目を引く一台。
これはV2なんですが、V1はもっと大きかったみたいです。
このペダルは元々、Sunn O)))というアメリカのメタルバンドとEarthquaker Devices(以下EQD)とのコラボレーションにより製作された一台だそう。
バンドのWikiがあったので詳しく知りたければどうぞ。
どうやらSunn O)))のアルバム「Life Metal」に合わせて発売されたエフェクターらしい。
コラボ商品であれば、まずはコラボしたバンドの音源を聴いてみましょうや。
これはヤバい、蠢く轟音で紡がれる音の塊、ノイズと音楽のギリギリで繰り広げられる展開。
なかなかの狂気っぷりです。
正直な話、人によっては雑音と捉えられてしまうかもしれません。
うん、嫌いじゃない。
さてと、次にこのペダルの動画見てみましょうか。
ほう、なるほど。
Sunn O)))に負けず劣らずイカつい音になってますね。
後で詳しく記載しますが、このエフェクターはオクターブとディストーションとブースターをまとめて一台に収めちゃったヤツみたい。
接続順は①オクターブ②ディストーション③ブースターの順になっているようです。
コントロールは以下の6つで構成。
- Amplitude / ディストーションの音量
- Filter / ディストーションのトーン
- Distortion / ディストーションのゲイン
- Magnitude / ブースターの音量
- Octave / オクターブとのMIX
- Clip / ディストーションのクリップ選択
フットスイッチは以下の2つで構成。
- 右FootSW(Amplitude) / オクターブ+ディストーションのON/OFF切替。
-
左FootSW(Magnitude) / ブースターON/OFF切替。
Clipはノブになってますけどロータリースイッチっぽいですね。
動画でもそうなんですが、アンプで軽く歪みを作ってから踏むのが基本っぽい感じですね。
なかなか変態的なヤツなのでとても好印象です◎
回路図
PDFはこちらからダウンロード可能
https://drive.google.com/file/d/1_QprCCmnTMIh8ZZZ7WGFAxdww7e1Q8gM/view?usp=sharing
なかなかデカい回路図になりました。
海外サイトの回路図を参考に作りましたが、よく見ると見知った回路がちらほら...
先にも書きましたが、このペダルはオクターブとディストーションとブースターを1台にまとめたもの。
そして、回路をよく見てみると...どうやら以下のものを足して設計されたものみたい。
オクターブ→Green Ringer(Tentacle)
ディストーション→RAT White Face
ブースター→Super Hard On
なるほど。これはなかなか変態的ですな。
うん、控えめに言って好きです。
もちろんそのまま繋げたってわけではなく色々と調整や追加がされている模様。
そんじゃ詳しく見てみましょう。
入力バッファー回路
プルダウン抵抗の1MΩからの高域調整の100pF。
次はよく見る回路ですが、PF5102というNch J-FETトランジスタが採用されてます。
これ廃番で売ってないんだよなぁ...
回路的にはよく見るバッファーという感じですね。
オクターブ回路
ここは過去記事のTentacleの内容ですね。
上下の波形を別々に処理して位相を反転させ、オクターブ音を生成。
原音にオクターブ音を加えた状態で出力させる方法です。
波の打ち消し合う作用を利用したようなものです。
Tentacleと少し違うのは平行して原音とのMIXが設定されているポイントでしょう。
ここでオクターブの追加具合を変更できます。
Tentacleはこれが無いので少し使い勝手が悪い気がします。
あと、Tentacleを製作したときはダイオードに1N4148を使用しましたが、Life Pedalではゲルマニウムダイオードが使用されてます。
内部写真を見てみても1N60っぽいヤツが使用されてますね。
なぜかダイオードがTentacleの時とは逆向きに取り付けされてますが、これはなぜなんでしょうか。よく分かりません...
知ってる人、教えてください...
ディストーション回路(増幅)
ディストーション回路はRAT White Faceに基づいて設計されている為、RATについても触れながら見ていきたいと思います。
ご存知の方も多いでしょうが、RATの心臓部はLM308Nというシングルオペアンプで構成されてます。
このIC、実は元々は音響用ではなく低オフセット電圧オペアンプと呼ばれる測定器などに使用するICなんです。
そのためか、周波数特性が狭くて高域が削られてしまうので音響用としては使えない。
でも無理に使おうとした結果、中域がガッツリ出て特徴的な音になったってのがRATのミソなところ。
削られる高域については回路上で無理矢理増幅して補正してるのにしっかりとまとまった音になるってところにPROCOの設計のすばらしさを感じます。
LM308Nの増幅は非反転増幅回路の為、回路の考え方はいままでと変わりません。
増幅率は100KΩの可変抵抗器とGNDへ接続された並列抵抗の約43Ω(47Ω+560Ω)で決まります。
GAIN最小時は0倍、GAIN最大時は理論上は約2300倍まで増幅します。
まぁ、あくまで計算したらそうなりましたってだけで、オペアンプの限界とかあるので、実際はこの通りではないです。
GNDに接続されたコンデンサと抵抗により高音域が増幅されています。
んで可変抵抗100KΩと並行に接続されたコンデンサはいつもの発信防止用コンデンサ。
1番と8番の端子間に接続された30pFは補償用ってなってるんですがよくわかりません。
LM308Nのデータシートでも30pFが推奨されているところから、これに従ったものと思う。
ちなみに、現在はLM308Nが廃番となりPROCO RATではOP07というオペアンプが採用されてます。
しかし世間一般では「RATはLM308Nじゃないとダメ!」なんつー話をちらほら聞くんですよ。
私もLM308Nが搭載されたRAT2を所有してるんで、OP07で自作したRATと比較したんですが、正直なところほとんど変わりはありません。
まぁ、並べて比較したら「う~ん、多少ね?」ってくらい。
私としては「並べなければどうということはない。」ってのが結論。
個体差もあるだろうし、古い個体の部品劣化もあるだろうから一概には言えませんけど。
LM308Nに拘りまくってもあまり意味がないと思います。
長くなったので続きは次回。
ではでは~