音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【準備】Hummingbirdで聴く羽ばたき

GWも終わったのに自粛続きで気が滅入ってしまいそうなこの頃。

ふっと目に止まったそのエフェクター。

今回製作するのはこれ。

 

Hummingbird / Eeathquaker Devices

EarthQuaker Devices Hummingbird V4 Guitar Tremolo Effect Pedal [並行輸入品]

 

とてもいいデザインじゃないっすか?

Hummingbirdとは「ハチドリ」の意味なんですよ。

名前の由来は高速の羽ばたきで発生する蜂の羽音のような音から来てるんだとか。

もっと知りたいならWikiさんへどうぞ~

ja.wikipedia.org

さて、このエフェクターはトレモロエフェクターなんですが、実は元ネタが存在するんです。

EQD公式にも記載されてますが、元々はVOX Repeat Percussion Tremolo(以下VOX PT)というエフェクターのクローンからスタートしたんだとか。

VOX PTは1960年代に製造されていたようで、私もお目に掛かったことはありません。

VOX PTはRATEツマミしかないものだったようなのですが、そこからEQDによって改良が繰り返されて生まれたのが現在のHummingbird。

まずは音を聴いてみましょうか。

youtu.be

この動画は古いHummingbirdです。

オーソドックスなトレモロ効果からマシンガントレモロまでカバーする幅広さはさすがEQDですね。

コントロールはこちら

  1. Depth:トレモロの深さの設定
  2. Mode:スピード域の設定(Mode1/低速、Mode2/高速)
  3. Rate:トレモロの速度の設定
  4. Level:出力の設定

スピード速度域の設定ツマミが面白いですね。

普通のトレモロでは再現できないロングトレモロも可能になっています。

Depth、Rate、Levelはそのままですんで特に触れません。

 最新のHummingbirdではDepthを絞り切るとドライ音のみになったり、モードも3つに増えているようです。

 

 

回路図

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PDFはこちらからダウンロード可能

https://drive.google.com/file/d/1_cp4ebQL-Cfdktbwn4pIDfUP6CxI6UBV/view?usp=sharing

V3と勘違いしており、多数間違った記載をしておりました。

申し訳ございません。5/17訂正させて頂きました。

 

回路としては大きく分けて3つ。

  1. 出力増幅回路
  2. トレモロ回路
  3. 音量調整回路

それぞれ見ていきましょうか。

 

出力増幅回路

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Levelツマミは入力側を絞って調整しているようです。

この回路図では全くのドライ音は出ませんのでご注意ください。

下側にDepthツマミがいます。

ここでエフェクト加減が決まります。

まぁここでそんなに特別なことはしてないですね。

そして出力増幅ですが、回路を通って変化した信号の音量レベルを補う役目です。

補うどころか増幅してるようですが。

 

トレモロ回路

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ここがHummingbirdのミソです。

何やら見慣れない記号、2N2646というものがあります。

これはユニジャンクショントランジスタ(以下UJT)と呼ばれるものです。

なかなか奇怪な回路なんですが、UJTの動作に触れながら見ていきましょう。

 

UJTについて

UJTはE(エミッタ)、B1(ベース1)、B2(ベース2)という3つの端子で構成されています。

上の回路図では矢印がE39Ωに接続されている側がB1470Ωに接続されている側がB2となります。

通常の状態であればEはどことも接続されておらず、B1、B2間は内部抵抗が存在します。

 

以上を踏まえて回路を見てみましょう。

まずVAから9Vが入ってきてB1に入ります。

入力された電圧はB1、B2間の内部抵抗+470Ω、39Ωで分圧されます。

次に、VAからの信号がRATEツマミを通り27KΩを通過しするとMODEスイッチで選択されたコンデンサへ溜まっていきます。

コンデンサが溜まっていくとB1、B2間で分圧された電圧値を超えます。

そうするとUJTのEはB1と接続され、コンデンサに充電された電気は放出されます。

コンデンサが放出されると電圧値が下がる為、E、B1は再び接続を解除します。

この繰り返しが行われることで周期的な波を作り出しています。

 

スピード域の設定はコンデンサ容量の違いによるものなんですね。

なるほど、面白い。

V3ではコンデンサの選択に10uFが追加されているらしいですが、真偽はどうなんでしょうね。

 

 

音量調整回路

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これは何となく分かると思いますが、先ほどのトレモロ回路から形成された波形は2N5089のベースに入力されます。

ベースへの入力電流によりコレクタ、エミッタ間の内部抵抗が無くなり、バッファー回路に入力されるべき信号は2N5089を介してGNDに落ちます。

こうして完全な無音を作ることでマシンガントレモロを作り出しています。

 

ざっくりと追ってみましたけど、結構アナログなことやってるんですね。

 

一応書いておきますが、元のVOX Repeat PTとの違いは...

  1. 出力増幅回路にJ-FETトランジスタを採用 
  2. Depthツマミ追加
  3. Levelツマミ追加
  4. MODEスイッチ追加

のようですね。VOXが生み出し、EQDが改良して、現在でも通用しているこのエフェクター、最高ですね。

 

 

さて、次回製作編と言いたいところですが、

部品が入手できるか怪しい...

この回路は2N2646が無ければ成り立たないのですが、販売しているところが乏しいんですよ...入手出来たら記事にしますね(笑)

ではでは~

 

 

t-tone-works.hatenablog.com