音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【製作】Slow Gearという謎のBOSS箱

前回のつづき

t-tone-works.hatenablog.com

 

さっそく作っていきましょう。

いつも通り、HAMMOND1590Bに納まるボードマウントポット配線を目標に製作します。

 

 

まずはレイアウト

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PDFはこちらからダウンロード可能

https://drive.google.com/file/d/1W1Zfm4ST_VZFvkdoZ6e9c43IXEkBCZep/view?usp=sharing

回路のわりには小さく仕上がったので満足。

ホントは左にIN、右にOUTのレイアウトにしたかったんですけど回路的に諦めました。

今回は電解コンデンサが多いのですが、電解コンデンサは意外とスペースを占領してしまうので周辺部品と干渉しないように気を付けなければなりません。

当初のSG-1の内部写真を見ても電解コンデンサがてんこ盛りな状態でした。

 

 

部品一覧

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Slow Gearは古いエフェクターなので手に入らない部品もあります。

なるべくどこでも手に入るもので代用してますんで、本家の音にはならないかもですが、高い金額を払って当時の部品を手に入れるのは本末転倒な気がするのでね...

 

  • 電解コンデンサ

回路図では0.5uFと30uFという数値が設定されていましたが、現在ではそんな数値ありまへん。

近似値の0.47uF、33uFで代替します。

  • トランジスタ

入力、出力バッッファーの2SC732TM、整流回路の2SC945も手に入らないので手元にあったBC549Cに変更します。

2SC1815でも代用可能ですが、ピン配置が違うので注意が必要です。

J-FETトランジスタの2SK30ATMについてはGarretaudioさんにて2SK30AGRが販売してますんでそれを使用します。

ここを変えると色々問題が出てきますんでね。

詳しくは後で話しましょう。

  • ダイオード

回路図には無かった回路保護用のダイオードを追加してます。

いつもは1N4001とかの整流ダイオードを使用するんですけど、今回はショットキーバリアダイオードの1N5817を使用。

回路に並列に配置した場合、整流ダイオードを通過することによってほんの僅かですが電圧降下が発生します。

ショットキーバリアダイオードの方が電圧降下が小さいので海外ではよく使用されてます。

国内でも使用してる個人ブランドとかもあるようですね。

正直なところ音に影響するかってなると微妙ですが、まぁお守りみたいなもんですよ。

別に1N4001を使用しても全く問題はありません。

整流回路のシリコンダイオード1S2473もほとんど手に入りません。1N4148で代用します。まぁ音に影響はないでしょう。

ツェナーダイオードは5.6Vならどれでも大丈夫ですが、なるべく小さいほうが収まりが良いので1N5232を選択してます。

  • オペアンプ

µPC741Cもなかなか手に入らないと思います。

シングルオペアンプのUA741CPで代用します。ここは出音には影響ないでしょうが、エフェクトの掛かり具合に多少の差が出る可能性はあると思われます。

何個か入れ替えて実験してみます。

 

結構変えてしまうので、正直どうなるか不安...

 

 

製作

もうお馴染みですよね。

作り方はいつもと一緒です。

トナー転写のプリント基板に部品乗っけて、

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はんだして、ポット付けて基板完成!

 

さっそく音出しをしましょう。

音はOKでした。

ここで試してみたかったことを色々やってみます。
①J-FETトランジスタの代用

海外だと2SK30ATMに2N5457を使用する回路図が出回ってます。

ホントに問題ないのか?って思ったので付けてみることに。

う~ん、ダメではないけど効きが浅い...

半固定抵抗を弄っても微妙だな...

あと、国内ではエフェクターを自作する際に2SK30ATMの代用として2SK303を使用する例があるのでそれも試してみることにしました。

うん、ほとんど効かない(笑)

Slow Gearは2SK30ATM用に設計されている回路のようですね、変更するなら周辺部品の定数も一緒に変更しないと上手く動作しない可能性大なのでおススメしません。

 

②ICの代用

複数のシングルオペアンプで確認してみました。

効果がはっきり出た順は①UA741CP②LM741CN③NE5534P④TL071CPでした。

恐らくICごとの出力が影響しているのでしょう。

最終的に一番効果がはっきりと出る2SK30AGRUA741CPの組み合わせで組み込むことにします。

 

 

ってなわけで完成!

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今回のケースはSlow Gearらしく黒にしました。

最近はコントロールが多いヤツしか作ってなかったのでケース加工や塗装も一苦労でしたが、今回は2ノブなんで楽勝ですわ(笑)

各部にシールを貼りつけて完成!

Slow Gearっぽく出来たので満足です。

 

 

試奏!

う~ん、確かにバイオリン奏法のような音は出ます。

しかし、コントロールの使える幅がかなり狭い。

前回の紹介動画でもそうでしたが、ATTACKツマミは基本的に10が良いです。

下げていくと少しだけフワッとするんですが、なんかよく分からない音になってきてしまう。

SENSツマミはギターやピックアップ、接続しているエフェクターなどによって変わってきますが、Slow Gear単体で使用する場合は4前後でしょう。

入力信号が強ければ下げて、入力信号が弱ければ上げていきます。

強くピッキングしたりすると効果が薄かったりします。前段にコンプを掛けると比較的効果が得られやすくなるらしいですが...そこまでして使おうとはあまり思いません(笑)

 

かなり面白いエフェクトなんですけど、あまり融通が利く方ではありませんね。

エフェクターに合わせて演奏者が合わせていかないと効果が薄かったりします。

正直なところ、名機というよりは迷機なのではないかと思ってしまいます...

音楽に取り入れるとなると少し難しい部分が多いかもしれません。

特にライブなんかだと使い難いと思う。

まぁ、私は回路が面白ければ何でも良い派なので関係ありませんがね(笑)

 

 

今回はここまで。

興味深いエフェクターでした。

BOSSの迷走エフェクターもシリーズ化したら面白そうだな。

ではでは~