音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【製作】ハンドメイドペダルの原点、Landgraff Dynamic Overdriveを知る

前回のつづき

t-tone-works.hatenablog.com

今回は拘りの1台を目標に製作していきます。

 

エフェクターを自作する時っていろいろなサイト様のレイアウトや部品表を見るとおもうんですが、「この部品はもう販売されてないけど、どれで代用すればいいか分からん...」ってのが結構な確率で出てきますよね。

私自身、部品の問題で挫折することも多数ありました。

なのでこのブログで紹介する部品は基本的にはどこでも手に入る部品を掲載するように心がけてます。

 

しかし、今回は自分用の特別な一台を作りたいので部品はなるべく本家で使用されていた部品で製作しようと思います。

あ、一応普通に製作した場合も作ったので載せときますよ~

 

 

まずはレイアウト

 ※レイアウト内の一部のコンデンサの向きが間違っていたため修正しました(2023/01)

レイアウトはネットに多数存在しますし、もっと小さいものもありますが、

ボードマウントポット配線のレイアウトがほとんどなかったので今回も作りました。

 

部品に拘るならこちら 

PDFはこちらからダウンロード可能

https://drive.google.com/file/d/1StIQcTd8ra7sLX7m5tbRQhxH_haUeE2S/view?usp=sharing

普通バージョンと大きさが異なるのはOUT前に取り付けされたSpragueのタンタルコンデンサです。

あと、種類によってはマイカコンデンサがキツイかもしれません。

マイカコンデンサが大きくて納まりが悪い用のレイアウトも作ったんで載せときます。

https://drive.google.com/file/d/14R4OS-l4_Yai9XlWRlC9sN5WQbr9rP3q/view?usp=sharing

 

 

普通に作った場合がこちら



PDFはこちらからダウンロード可能

https://drive.google.com/file/d/1ihcmMXq7HZmxiQzMEfqzy2QlCCySSDn5/view?usp=sharing

 回路保護用ダイオードをいつもの1N4001に変更。

入力直後のプルダウン抵抗(2.2MΩ)も追加しました。

シリコンダイオードは1N914ですが、1N4148でもOK。

 

 

部品一覧

部品に拘った場合の部品はこちら

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私なりに調べたり、エフェクターを自作する方に教えて頂いたりした限りではLandglaff DODは以下の部品で構成されていたようです。

  • 抵抗器:Allen Bradley社製1/4Wカーボンコンポジット抵抗
  • フィルムコンデンサ:AVX社製BF/BQ Seriesコンデンサ
  • タンタルコンデンサ:Sprague社製150Dソリッドタンタルコンデンサ
  • 発振防止用コンデンサ:シルバーマイカコンデンサ
  • オペアンプ:JRC4558
  • トランジスタ:2SC1815BL

上記の部品は音に影響する為、同じ部品または同等部品を使用してみます。

電解コンデンサは日本ケミコンっぽい見た目してましたが、よく分かりませんでした。まぁ電源部だけで使用する部品なので音にはほとんど影響しないでしょう。

 

普通に製作する場合の部品はこちら

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抵抗器、フィルムコンデンサ、電解コンデンサはお好きなヤツを使えばOK。

出力部のタンタルコンデンサは電解コンデンサでOK。

発振防止用コンデンサはセラミックコンデンサを使用すればOK。

オペアンプはデュアルオペアンプならどれでも問題ありません。

トランジスタの2SC1815はどこでも手に入るのでそのままにしましょう。

 

余談ですが、2SC1815トランジスタのランクは直流電流増幅率(hFE)によって分けられています。

2SC1815の場合は以下のように分けられており、

  • O:70~140
  • Y:120~240
  • GR:200~400
  • BL:350~700

Landgraff DODではBLランクが使用されていたようです。

エミッタフォロアにより電流が増幅されて出力される為、多少の違いが発生するとは思います。試しにソケット化してみても面白いかもしれません。

 

部品に拘っていくと部品の値段が倍以上違ってきますが、値段に見合う音になるかはってなると分かりません。まぁ、好きにやってくださいな。

 

 

製作

Landgraff 氏はポイントトゥポイント配線で製作したことでも有名です。

内部写真はお世辞にも綺麗とは言えませんが、張り巡らされた部品とワイヤーはある種の芸術とも言えますね。

私はそんなことしません、プリント基板でチャッチャと作りますんでね。

 

基板がこんな感じ。

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シルバーマイカコンデンサがデカくてかなり窮屈になりました...

さて、ここで念のための音出しチェックをしときます。

うん?なんか変だな。やたらと高域がブーストされとるぞ?

はい、一部レイアウトが間違ってましたよ...掲載してるやつは修正済みの方です。

修正するとOK。コントロールも正常に動作しますね。

 

それじゃサクッと組み込んで完成。

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塗装の色はメタリックレッドにしました。

意味はありません。塗料が余ってただけです。

本家ではクリップ選択スイッチが中央、LEDが上になっていますが、スイッチングするときに干渉するのが怖いため逆にしてあります。

結構ゆとりある配線になりましたが、ギリギリまで詰めれば電池も入ると思います。

私は根っからのパワーサプライ派なので入れませんがね。

 

 

試奏

うん、良い音ですね。

基本がTSなのでそんなに驚きはないんですが、音の纏まり、粒立ちがDODの方がはっきりしているように感じます。

単体歪みでも使えないことは無いです。

ただし、ブースター的な役割の方が簡単にかっこいい音します(笑)

私はLEDクリップが好みでした。

シリコンクリップは粒が細かくていわゆるクリーミーな歪みなのですが、LEDクリップは音の粒が粗くて気持ち良い。

 

クリップ選択なんですが、音量がかなり変化するので注意が必要です。

クリップ無しが一番大きく、LEDがその次に大きい。

シリコンダイオードが一番小さい音量になります。

まぁ、クリッピングを変更してるんだからそりゃそうだってな話ですよね。

Landgraff DODの説明でよく言われるのが、

シリコンダイオードクリップ→TS系

LED→マーシャル系

クリップ無し→ダンブル系

ですが、正直なところダンブル系って呼ばれる理由が謎。

ダンブル系とはダンブルアンプっていうハンドメイドアンプのような音のことですが、粒が荒くてサスティーンの伸びがイマイチ。

個人的にはあまり使い勝手のいいものではないと思います。

 

過去に製作した1台(普通の部品を使用)と今回の一台を比較してみました。

今回製作した方が少し音の芯が太く、艶がありますね。

まぁここら辺は好みの問題でしょうが、個人的な感想としては「比較しなければさほど変わらん」って感じです。

 

部品に拘るのもエフェクター自作の楽しみの一つですが、部品の違いは味付け程度と思っておくべきでしょう。

もちろん、世の中のエフェクターで拘り詰まった部品が使われているのは何度も吟味した結果なのでしょうから意味無いわけではないですがね。

その味付けに見合った値段だと思ったなら拘ってみても良いと思います。 

 

 

これにて完結

何度作っても思いますが、Landgraff DODはやっぱり良いですね。

作っても弾いても楽しめる1台だと思います。

そんなに部品点数が多い訳じゃないので少し自作したことのある人なら作り易いと思います。

 

さて、今回は名機シリーズでしたが、次は久しぶりに迷機作りたいなー。

迷機はね、「作ったけど...どうすんのこれ...?」ってのが良いんですよ。

回路も面白いし最高なんですよねぇ。

何作ろうかな。

 

ではでは~