趣味で始めたこのブログですが、2021年4月でちょうど1周年となりました。
改めまして、読んで頂きありがとうございます。
皆様に有益な情報となるよう励んでまいりますので、
今後ともよろしくお願いいたします。
さぁ、今回は名機シリーズです。
自作と言えばこれ的なエフェクターを製作したいと思います。
今回作るエフェクターはこれ!
Landgraff Dynamic Overdrive
言わずもがな、ハンドメイドブティックペダルの原点にして最高峰と名高いLandgraff Dynamic Overdrive(以下DOD)です。
希少価値から、2021年現在でも約7~10万円程度の価格で取引されるヤツです。
私が初めて知ったのは2005年辺りでしたが当時のエフェクター本などでも10万円くらいと記載されていて、驚いたものです。
そもそもなぜそんな高値で売買されるのかというと、まぁ希少性でしょうね。
Landgraff Clean Boost(以下LCB)の記事でも話しましたが、全てハンドメイドで製作されており、ペイントも全て違う。
そんな希少性が必然的に値段に跳ね返ってくるのでしょう。
私ごときが実機を購入できるシロモノではありません...
そんなこともあり、はるか昔から自作エフェクター界隈ではクローン製作が盛んに行われていました。
私も過去に複数台製作したことがあります。
まずは音を聴きましょうか。
う~ん、良い音。
全体的にはTS系な感じです。
それもそのはず。DODは基本はほぼTS-808なのです。
詳しい話は後述しますね。
TS-808については過去記事を見てください。
さて、さっそく回路図見ていきましょう。
回路図
先ほども書きましたが、基本はTS-808です。
そこにLandgraff氏が独自の調整を施し、販売していたのがDODと言われてます。
回路図内の赤文字で表記された部分がTS-808との相違点です。
今回は相違点にのみ注目して見ていきましょう。
増幅段
Landgraff DODといえばここですよね。
TS-808と大きく異なるのがクリッピングダイオードの部分。
3種類の歪みを選択できるスイッチが増設されており、各スイッチの内容は以下のようになっています。
- TS系(シリコンダイオード非対称クリッピング)
- Marshall系(LED対称クリッピング)
- ダンブル系(クリッピング無し)
昨今の自作エフェクターでは割とポピュラーな改造ですが、当時としては珍しかったのでしょう。
また、歪み量を決めるバイアスに接続された抵抗の値が下げられており、可変抵抗の値は上がっているのでTS-808よりも歪むように設計されてます。
トーン回路
トーン回路の定数は基本的に同じなのですが、可変抵抗のGカーブ20KΩからBカーブ25KΩに変更されています。
手に入らなかったんですかね?どっちでも同じような動きはするので問題ないでしょう。
TS-808ではタンタルコンデンサが使用されていましたが、無極性コンデンサに変更されてます。
LandgraffではAVXというメーカーのメタライズドポリエステルフィルムコンデンサを使用しています。
黄色い四角のコンデンサーで、自作エフェクターでは超有名ですよね。
トーン回路についてはほんのり微調整って感じがします。
出力バッファー
出力バッファーの出口に100Ωが1本追加されています。
直前の10KΩと分圧されるので僅かに出力が落ちるはずですが、増幅段で増幅し過ぎた部分の微調整なんでしょうかね。
それから電源回路のところ、回路保護用のダイオードに1N914が使用されてます。
VEMRAM Jan Rayのときもそうだったんですけど、経費削減なのかな?
直接音色に影響するということは無いでしょう。
音に関しては定数も若干弄ってありますが、部品選定による音の追求もあるでしょう。
AB抵抗、AVXコンデンサ、Spragueタンタル等々、選定に選定を重ねて完成させたものなのでしょうね。
ほぼTS-808、でもLandgraffは凄かった
ざっくり見てみましたが、感想としては「ほぼTS-808やん!」です。
LCBを見ても分かりますが、Landgraffは基本的に他メーカーの回路を再構築して製作することに長けていたのでしょう。
Landgraff氏が機材の技術者だったことも影響したように思います。
現代でもこの手法は多く利用されており、TUBE SCREAMERの名を冠したMOD品なんて数多ほどありますよね。
その先駆けとなり、頭一つ飛び抜けた値段でも売れ、TUBE SCREAMERを完璧に昇華したLandgraffはやはり凄かったんだと思います。
まぁ、中の回路がほぼTS808なんで「詐欺やんけ!」「パクリやろ!」なんて批判も多かったらしいですけど。
機材の世界は何を言ったところで出音が最終結論な訳で、そういう面でしっかりと実績を残しているこのメーカーはやはり現代に至るハンドメイドエフェクターの原点だと思うのです。
残念ながらLandgraff氏の死去により既に製造中止。
これからもペダルの高騰は続くのでしょうね...
さて、回路の話はここまで。
いつもはだれでも製作できるように部品には拘らないようにしてるんですが、
今回のDODは自分用に拘りの1台でも作ってみようかな。
それでは次回製作編。
ではでは~