音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【製作】Hummingbirdで聴く羽ばたき

前回のつづき

t-tone-works.hatenablog.com

 前回の記事につきまして、私の勘違いで内容を多数間違えておりました。

投稿の翌日に修正させて頂きました。大変申し訳ございませんでした。

 

 

さて、前回の記事で「ユニジャンクショントランジスタ(以下UJT)が入手できないかも...」なんて言ってましたが、

入手できました!

そんなわけで早速作っていきます。

 

 

まずはレイアウト

レイアウトを作るに当たり、前回の回路図に追加要素を入れようと思います。

前回記事で記載したとおり、回路図ではMODEが2種類でした。

しかし現行品は3種類のスピード域が選べるようになっています。

これはUJTのエミッタに接続されたコンデンサの容量によって変化するのですが、FBSスレッド内にてHummingbird V3の内部写真を見たところ、10uF程度のコンデンサが1個追加されているようでした。

それを踏まえて今回はMODEを3種類に増やしてレイアウトを作成しました。

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PDFはこちらからダウンロード可能

https://drive.google.com/file/d/1KMLi9p4b1gxJkUOCuZf7Vkpoq3YYPlrD/view?usp=sharing

 

回路自体は大きくないです。

MODEの種類ですが、ON-OFF-ONのSPDTスイッチを使用します。

選択できるコンデンサ容量は1uF、4.7uF、10uFの3種類。

1uFは常時接続された状態になります。

コンデンサの合成容量は並列にした場合は2つの値の合計となるので、

  1. MODE①では11uF(1uF+10uF)
  2. MODE②では5.7uF(1uF+4.7uF)
  3. MODE③では1uF(スイッチOFF状態)

となり、MODE①が超ロングトレモロ、MODE③が超ショートトレモロとして機能するようになります。

MODEを二種類にする場合はこんな感じで配線して、スイッチをSPDT(ON-ON)に変えればOK。

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ここは好みでしょうね。

 

今回はLED抵抗も難なく載せれました。

全体的にスペースにゆとりがありますが、これ以上小さくするメリットはほとんど無いと思ったためこのサイズにしました。

1590Bに納まりますし、ボードマウントポット配線ですので作り易いと思います。

 

 

今回はプルダウン抵抗を入れてません。

フットスイッチの操作で「ボンッ」って鳴る場合は入力部に1MΩ程度の抵抗を入れましょう。 

 

次に部品一覧

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部品の中で一番手に入りにくいモノは...そう、UJTの2N2646です。

なぜかというとUJT自体がすでに一般的ではないから。

そもそも今回のような発振回路だったりを製作しようとした場合、現在ではもっと安価で使い易い部品が多くあるから。

Hummingbirdは元のエフェクターであるVOX Repeat Percussion Tremolo(以下VOX Repeat PT)のクローンから始まっているためVOX Repeat PTで使用されていた2N2646を今でも使用しています。

こういうところがEQDらしくて好きです。

 

さて、肝心の2N2646ですが、なんとマルツさんに置いてました!

www.marutsu.co.jp

正確にはDigi-Keyというアメリカの部品屋さんなんですが、Digi-Keyさんの正規代理店がマルツさんなんですよ。

入手困難や取り扱いが少ない部品なんかではかなりお世話になってます。

配達も店頭受け取りも選択出来てものすごく便利なんです。

部品によっては納期が掛かってしまいますが、〇mazonなんかの怪しい部品を買うよりよっぽど信用できるのでおススメです。

 

UJT以外は特に問題ないでしょう。

いつも使ってるような部品ばかりです。

 

 

製作!

部品探しに手間取りましたが、こちらが入手したUJTです。

 結構小さくてカワイイんですよ~

私自身、初めて使う部品なので足の間違いに注意しなければなりません。

そんじゃ基板製作!

私はいつものプリント基板。

小さいのでPtoPでも製作可能なんじゃないかな?

 

サクサク組み立てて試運転。

ん?トレモロは効いているんだけど、強くピッキングすると歪むぞ?

色々調べてみるとこの動画に辿り着きました。

 

youtu.be

どうやら、出力増幅回路の関係で入力信号の大きさによっては歪むようです。

LEVELツマミを最大にすると軽いクランチくらいになりましたが、動画で見る限りでは近いようなのでこのままにします。

 

DEPTHツマミを25KΩにしたところ、「0」状態でも割とトレモロが効く状態でした。

もう少し薄くても良いんじゃない?と思い、DEPTHツマミを50KΩに変更。

私にはちょうど良い感じになりました。

100KΩにすれば完全なドライ音が出るようになりますが、変化が急すぎて使いづらくなります。

 

それから、これは海外の自作サイトを色々見て分かったんですが、今回使用したUJTは正常に機能しない場合があるようです。

「クリーンな音しかでないんですが...?」みたいな書き込みが多数あり、かなり頭を悩ませていたようです。

品質が良くなったのか、それとも当たりを引いたのか分かりませんが私は一発で鳴りました。良かった...

 

音はOKなので組み込みへ。 

ケースは本家と同じくミドリ色にしました。

速攻で組み込んでシール貼って完成!

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試奏~

かなり面白い音が出ます。

特にDepthツマミ10のマシンガントレモロですが、Rateツマミを絞ってMODEスイッチを最短に設定するとトレモロというよりもコーラスに近いような音になります。
扇風機に向かって「ア゛ーーーー」って言ってる感じです。
音楽に向いているかは別ですが(笑)
そんでもってDepthツマミを下げていくと普通のトレモロに近くなります。

 

試運転したときの動画がこれです。

  

 

難点といえば、普通のトレモロのような柔らかいフワフワした感じにはなりにくいです。

回路の動作上、どうしてもバッバッバッバッのような少し硬いトレモロになってしまうので、人によっては使い難いだけかもしれません。

好きな人には結構ハマる音だと思うのでHummingbirdを見かけたらぜひ試奏してみることをオススメします。

私はお気に入りの一台でした。今度は絶対に本家を試そう。 

 

 

さて、今回はここまで。

クローンから始まったとはいえ、そこからがっつりと独自進化を遂げるEQDはやっぱり素晴らしいペダルメーカーですね。

次はもっとぶっ飛んだヤツ作ろうかな。

 

ではでは~