音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【準備】EQDが放つ天災、それがErupter

ある日、ネットを徘徊していたら面白そうな回路図に出会ってしまいました。

今回製作するエフェクターはこれ~

Erupter / EarthQuaker Dvices

Earth Quaker Devices エフェクター Erupter [並行輸入品]

 

EQDらしいワンノブスタイルのエフェクターです。

名前の意味はデザインでも分かるとおり噴火。

デザインからなんとなく想像るかもしれませんが、もちろんFUZZです。

さっそく音を聴いてみましょ。

youtu.be

コントロールは1個のみ。

BIASというツマミですが、音量を調整するものではなくFUZZのキャラクターを変えるツマミのようです。

左に回せばゲートの掛かった様なファズ、右に回せばタイトな音色のファズになるらしい。

なかなか面白い動きですな。

 

んで、本家サイトを見てて気になることが一つ。

「トランスフォーマーを使用したピックアップシミュレーションも採用」

なんじゃそりゃ?
EQDの公式HPにて公開している内部写真がこちら

https://images.squarespace-cdn.com/content/v1/58b4b792f7e0ab855e83f526/1493992222250-C4TRI85UPFT0JAQOSE5B/Erupter-8.jpg?format=500w

https://www.earthquakerdevices.jp/erupter

基板の左中央を見るとトランスのようなものが映っています。

これが何かしかの動作をしているのだとは思われますが、よくわかりませんね。

ちなみにこの基板はRev2と呼ばれるものです。

Rev1と呼ばれる初期型の内部写真もEQDのHP内で紹介されていました。

https://images.squarespace-cdn.com/content/v1/58b4b792f7e0ab855e83f526/1629828617909-C9TOHS49NUI31FPL4Q9S/ErupterGutz.jpg?format=750w

https://www.earthquakerdevices.jp/blog-posts/fuzzcyclopedia

トリマーが3個になってますね。

記事内では出力調整、BIAS ADJ、BIAS FINEの3種類らしいですが、Rev2で1個になっているところからそこまで調整する必要が無かったのかもしれませんね。

 

なかなか面白そうな基板なので、さっそく回路図を追ってみましょう。

 

回路図



今回はネット上に掲載されている回路図の中から、信憑性の高いヤツを元に回路図を製作しました。

この回路図はRev2のものです。

さっそく細かく見ていきましょう。

 

入力バッファ

まずは入力バッファが配置されています。

JFETを用いたバッファですね~。

そこまで特別なことは無さそうです。

サクサクっと次に行きましょう~

 

増幅回路

この増幅回路はFUZZ界の超重鎮的存在、FUZZ FACEの回路が元になってます。

若干の定数変更やトランジスタにNPNが使用されていますが、大まかな部分は同じ構造となっており、トランジスタを用いた2段の増幅回路で音を形成しています。

ちなみに、2N297なんつー化石のようなトランジスタが採用されていますが、私が調べた限りでは現在は入手出来ませんでした。

まぁ、NPNトランジスタなら何でも動くので問題ないですが、EQDは一体どうやってこんなレア部品を製品化させているのか...

 

ピックアップシミュレーション

さて、冒頭でも書いたようにこのErupterにはピックアップシミュレーションなる回路が存在します。

昔のトランジスタで構成されたエフェクター、特にFUZZ系では他のエフェクターを前に繋ぐと音が極端に変わる場合がありますとね。

インピーダンスの違いが影響するんですが、ざっくり分けるとこんな感じ。

①ギターから出た信号→ハイインピーダンス

②エフェクターなどの回路を経由した信号→ローインピーダンス

エフェクターをたくさん使ったり、バッファ入りのスイッチャーやチューナーなんかを繋いだりすると、EQDが意図した音とは違う音が出てしまうことがあります。

これを解消するために、バッファを通った信号をトランスで最適化して増幅回路に送るのがピックアップシミュレーションというわけです。

この回路の恩恵で、どんな状況でもErupter本来の音が出せるようになっています。

 

さて、この部分がピックアップシミュレーションです。

左の記号はトランスを表しています。

Erupterで使用しているのは小信号トランスと呼ばれるものです。
トランスはコイルが2つ巻いてあり、一次側(P)と二次側(S)に分かれています。

この回路では一次側のみ使用しています。

疑似的にギターの回路を次のように構成しているんです。

  • トランス - ピックアップのコイル
  • 抵抗 - 内部抵抗
  • コンデンサ - トーンコントロールとシールドに含まれる静電容量

 

こうすることでインピーダンスを一定にして出力し、増幅回路へ。

なるほど~、面白い回路ですね。

 

この回路についてはこちらのブログを参考にさせていただきました。

海外の方のブログですが、気になる方はぜひ!

www.muzique.com

ピックアップシミュレーションについての記事はこちら~

Guitar Pickups Simulation

 

コントロール回路

最後はコントロール回路です。

BIAS ADJは基板上の半固定抵抗、BIASが表のツマミです。

この2つの可変抵抗器は2段目のトランジスタに掛かる電圧を制御するためのものです。

普通のFUZZ FACEはコレクタに掛かる電圧が4.5V程度に設定されていますが、ここを変化させることによって音質の変化を得ているようです。

なるほど面白い回路ですな。

 

ちなみに電源回路はいたって普通なので割愛します~

 

 

さてさて今回は終わり!

回路の構成を自分なりに解説してみましたが、間違ってたらすみません...

EQDならではの拘りが詰まった一台ですな~

 

次回は製作編!

ではでは~

 

t-tone-works.hatenablog.com