音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【修理】諦めるな!そのエフェクターはまだ蘇る!②

前回のつづき

t-tone-works.hatenablog.com

 

お預かりしたエフェクター二台目はこれ

DEATH BY AUDIO(以下DBA)のFUZZ WAR。

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DBAはニューヨーク発のハンドメイドエフェクターメーカー。

2002年頃から製作をしているようでかなりの老舗。

ちなみに、このメーカーの回路図なんかは結構出回ってるんですが、サウンドが奇抜過ぎて自作はしたことありません(笑)

 

そんなDBAが発売している轟音系FUZZがこのFUZZ WARなんです。

このエフェクターにはVer1とVer2が存在します。

Ver1は2ノブタイプ(今回預かった個体)なんですが、コントロールがLEVELとTONEしかありません。

FUZZなのに?なぜ?

私はGAIN固定の超ぶっとびエフェクターかな?とか思ったんですが(それはそれで面白そうですけど)なんと、裏蓋開けたところにありました。

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右下の黒いヤツ、半固定抵抗が載ってます。

基板にはしっかりとDRIVE/CLEAN/FUZZの記載がありました。

エフェクターをお預かりしたギタリストの方曰く、

「この半固定の設定がめちゃくちゃシビアだから、できるだけ動かさないで欲しい」

あーなるほど、と思いました。

DBAもそう思ったから中に入れたんでしょうね(笑)

 

 

さてと現状確認しましょ

今回の故障は分かり易い、ノブが折れちゃったって話です。

ギタリストさんが言うには「エフェクターを蹴るくらいスイッチングしたら折れちゃった」らしいです。私にはすごく共感がありました(笑)

そもそもエフェクターってそうだよな~と、やってる音楽にもよるのでしょうけどね。

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ローレットタイプの可変抵抗器ですが、シャフトが通常のものより長いです。

ノブの大きさからも考えると、同等程度の長さのポットを見つけないとダメそう。

 

 

それじゃ分解!

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綺麗な配線はさすがですね。見習いたいものです。

んでナットを外していきます。

今回は配線のはんだ付けを外さないとDCジャックが外れない機構になっている為、DCジャック以外のナットを外して作業を進めます。

 

今回の依頼の中で「内部の半固定抵抗はなるべく動かさないで欲しい」との依頼があったため、裏蓋を開けた段階で半固定抵抗の2-3間の抵抗値をテスターで測定、46.3KΩでした。再度蓋を閉めるときの目安としてメモっておきます。

 

んで、スイッチカバーを外すときに判明、スイッチの頭が外れている...

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そういえば預かるときにスイッチもダメみたいなことを言ってたな。

ついでに直しとこう。

んでポットなんですが、基板マウント型のポットでした。

これはなかなか売っていない...どうしよ...

色々考えた結果、シャフトの長さを優先することにしました。

ノブの見た目って結構重要だったりするのでね。

 

んで交換した後がこちら

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部品の足で繋いでます。

元々の基板の穴が大きかったので不安なこともあり継ぎ足して配線してます。

ここは個人の考え方なんですが、私は基板のはんだ面と部品が接触していないと気持ち悪いんですよ。

実ははんだって経年劣化で割れたりするんです。はんだが局所的に割れるともちろん導通しないので、部品とはんだ面が接触していなければ音が出なくなります。

 

元のポットと比較してもシャフトの長さはぴったりだったので問題ないでしょう。

 

ちなみにこの基板はフットスイッチも基板に引っ付いてます。

基板に直接はんだ付けされている場合、結構な量のはんだが流し込まれていることが多いので、スイッチを交換する際には注意が必要です。万が一、はんだが残ったままは無理に力を加えると基板のはんだ面が剥がれたりします。

こうなってしまうとかなり修正が難しくなります。

修理に焦りは禁物ですよ。

 

あ、裏蓋にこんなことが書いてありました。

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製作者のお名前なんでしょう。

裏蓋を開けるのが少し楽しみになりますよね。

こういうの好きですわ~

 

最後、蓋を閉める前に再度、半固定抵抗の2-3間の抵抗値を測定。動いていないことを確認したら蓋を閉めて完成~

 

 

それでは試奏を!

おぉ...おぉ...これは...良いぞ...!!

図太い轟音が押し寄せてくる...!

これ欲しい、いや、作りたい!!!

 

DBAの試奏動画でも見てってくださいな。

youtu.be

このエフェクターも写真を撮らせてもらったのでまた後日トレース記事で上げますね。

 

 

エフェクターの修理って請け負ってくれる業者さん少ないんです。

故障しても修理するより買った方が安くなる場合がほとんどだからですよ。

今回の修理みたいに分かり易ければいいですが、

基板上の部品が故障した場合は特定が非常に難しいので時間ばかりかかってしまい商売になりません。

今回程度であれば少し知識があれば出来そうでしょ?

壊れて、直す宛ても無いなら一度トライしてみてはいかがでしょうか。

 

 

今回はここで終了。

実はもう一台預かり品があります(笑)

修理ではなく改造なんですけどね。

これはこれで面白そうなんでまた記事にします。

 

ではでは~