前回のつづき
早速製作していきましょ。
まずはレイアウト
今回はHAMMOND1590Aに収まるように作ろうと思います。
お好きなケースで作ればいいですが、1590Aに収めるのは少し経験が必要になりますのでご注意ください。
本家は1590B程度の大きさで製作されているようです。
1590Bで製作するのが無難ですよ~
ちなみに、FBSを散策してたらたまたまAcapulco Goldの内部写真を発見しました。
とても綺麗ですな。
ICはJRC386Dが搭載されてます。ICは基本的に数字が同じなら同じような動作をするので、LM386NでもOK。詳しくはデータシートで確認する必要がありますが、「386」なら大体使えます。
そんじゃ部品一覧ですわ
少ないですね。
正直なところ、部品だけであればケースなども合わせて3000円で足りてしまいます。基板だけであれば1000円でもオツリがくるでしょうね。
部品の選定方法なんですが、ここは人によって違いますんでご自由にどうぞ。
今回私が用意した部品がこちら
抵抗は1本5円の普通のヤツ。
フィルムコンデンサは1個10円の最安品。
電解コンデンサはいつも使ってるNichiconのFWシリーズ。
まぁ、いつもの通りです。
ところで、電解コンデンサの表記って○○uF/○○Vと記載されてますよね。
自作始めた頃は「なんのこと?」「どれ選べばいいの?」と疑問でした。
なので電解コンデンサの選び方を記載しておきましょう。
○○uFは容量を表します。まぁこれは分かりますよね。
○○Vは耐圧を示します。電解コンデンサに通してもよい電圧の限界を表しています。
これを超えて電圧がかかると「プシュー!」なんつって電解コンデンサから液漏れが発生してしまいます。
経年劣化とかでも発生しますんで、古い電子機器の故障だと一番最初に疑われるヤツです。
耐圧の種類は色々あるのですが、エフェクター製作でよく見かけるのは16V、25V、50V、100Vくらいでしょう。
一般的な電子回路だと使用する電圧+20%前後の余裕を持って選択しますが、エフェクターの場合は基本的に25Vまたは50Vを選ぶと無難です。
最近のエフェクターは昇圧が前提で製造されているものも多く、
「12Vまで昇圧出来まっせ!」
「いやいや18Vまで昇圧できるで!」
「倍の32Vまで行けまっせ!」
などという、電圧上げれば良い音鳴ります!ってな話になってきてるから怖いですね。
そういった昇圧された電圧がエフェクターに掛かっても耐圧が大きいヤツにしとけば壊れないというわけ。
じゃ全部最大の耐圧でよくね?てなります。
確かに耐圧が大きければ安心なのですが、サイズが大きくなるため基板やケースに余裕がないと入らなくなってしまいます。
本末転倒ですわ。
それに宝の持ち腐れ状態なので意味がありませんしね。
用途に合った耐圧を選択するのが一番ですよ~
ポットはいつもネジ止め式の可変抵抗を使用しています。
これ間違えるとノブも買い替えないといけなくなったりしますから注意してください。
可変抵抗器のシャフトには大きく2種類あります。
どちらを選んでも問題はありませんが、正しい組み合わせでノブを購入しないと固定できないので注意。
1590Aに収めるためにIN/OUTジャックはマル信のオープンタイプを選択。
ボックスタイプだとスペースとっちゃうんですよねぇ...
1590Bで作るならボックスタイプがおススメ。
ケース内でショートし難いので安心です。
プラグが当たる端子部分の強さもちょうどいいです。
さてと、ようやく製作!
今回は久しぶりにユニバーサル基板で製作しようと思います。
小さいし部品も少ないし、楽勝でしょう。
ユニバーサル基板は紙フェノール基板を選んだ方が良いです。ガラスエポキシ基板は見た目が綺麗だしスルーホールで部品がしっかり固定されるのですが、間違った場合に取り外しが大変です。固いので加工も一苦労です。
ユニバーサル基板での製作方法は過去記事を参考に~
完成した基板がこちら
試作なので載せてるレイアウトと若干違います。
1590Aに収めたいあまり、電解コンデンサが窮屈になってしまったため、
その部分は修正済みですのでご安心を。
サクサク行きましょ!
ケース加工して~
塗装して~
こんな感じ!
塗装の手順はこんな感じ
- ケース研磨(紙やすり600番手)
- 脱脂
- プラサフ吹き付け2回
- 軽く研磨(紙やすり600~800番手)
- 色吹き付け2回
- トップコート吹き付け2回
塗料は30分毎に重ねます。最終乾燥は丸1日置くようにしてます。
以前はアサヒペンのメタルプライマー使ってたんですが、今回は車用のプラサフスプレーを塗ってみました。
こいつはグレー色なので吹き付け具合や研磨具合が簡単に分かって使い易かったです。
プラサフやメタルプライマーの吹き付け後は600~800番手くらいの紙やすりで軽く研磨した方が塗料の密着度が上がります。
下地が見えるまで研磨したらだめですよ~
今回はもタミヤの塗料を使いました。
いつもの通り、いろんな色がありますんでお好きな色でどうぞ~
トップクリアはGSIクレオス Mr.スーパークリアー光沢170ml/B513てのを使ってます。艶感は少し落ちますが、吹き付けやすいのでおススメです。
組み込んで~
シール貼って~
完成!
Acapulco Goldってのはメキシコ産高級大麻の意味なんだそうな。
今回のレイアウトは部品が少ないのでユニバーサル基板で製作すると繋ぐ足が足らなくなるんですわ。
そうならないために製作で余った部品の足は適度に保管しておきましょう。
なにかと便利ですよ~
配線はトゥルーバイパス配線です。
配線方法はこちら~
近いところは部品の足とかで繋いじゃってもOKです。
ジャック周りはプラグが入ることを想定して配線材を除けて取り回しましょう。
配線を雑にした結果、シールド挿して「なんか嫌な感触がするなぁ」って思ってたら配線材が切れたこともあります。配線はなるべく綺麗にまとめておくと後々のトラブル回避に繋がりますので。
それじゃ試奏しようや
ギュワァーン!!
うん、カッコいい音がする。
なんかね、攻撃的なのに音楽性がある。
これは一度弾いたら好きになると思いますよ。
全体が持ち上がって歪んでるんですが、ミッドで抜けて気持ち良い。
パワーコードやブリッジミュートなんて弾くと最高ですよ。
入力に対する追従性も良く、ノイズも許容範囲内かなと思う。
弾き方によっては少しFUZZっぽいところもあってこれまた楽しい。
作って損ない逸品です。
音はこんな感じ
音はこんな感じ pic.twitter.com/NgTDDZBGis
— ルートワンの三線弾く人 (@ORIENT_Gt) 2020年12月30日
補足
以前の記事でも話しましたが、このエフェクターはGain設定がありません。
ギター側で調整してね、ってな話ですが、ギターの次に繋がなくては調整できないでしょう。そんなときの改造方法を載せときます。
Gainポット追加版がこちら~
基板側は変化ありませんが、入力側に可変抵抗を追加しました。こうすることで
ポットを絞るとプルダウン抵抗と分圧回路が形成されます。1M:1Mなので0位置で入力が半分になるわけです。
もっと調整を効かせた場合はGainポット1番端子をGNDに接続することでもっと調整することができますが、あまり需要はないでしょう。
さて、今年の製作は一先ずおしまいです。
今更ながら数えてみれば今年だけで18台も製作していたようです。
う~ん、これは本格的に比較動画など上げてみようかな...
それではまた次回~