はいどうも。
いつもお世話になってるAion Electronicsさんのトレーシングジャーナルで約1年ほど前に解析された1台のペダルがありました。
かなり気になったエフェクターなんですが、調べてみるとかなり歴史があるペダルでして、なかなか製作に踏み切れませんでした。
今回作るエフェクターはこれ!
STORM / SOLODALLAS
https://aionfx.com/news/tracing-journal-solodallas-storm/
まず初めに、このペダルがどういう経緯で製作されたかをご紹介しましょう。
STORMの歴史
時は1975年まで遡ります。
アメリカの技術者ケン・シャファー(Ken Schaffer)はエレキギター、エレキベース用のワイヤレスシステムを開発しました。
その名もSchaffer-Vega Diversity System(以下SVDS)と呼ばれるシロモノ。
このワイヤレスシステムは超有名アーティスト達がこぞって使用したことにより有名になります。
一番有名な人がアンガス・ヤング。
彼はギターとアンプのみで音作りをすることで有名ですが、そのギターとアンプの間に居たのがSVDSなのです。
SVDSは可能な限りクリーンな音を送る目的で開発されましたが、ワイヤレスシステムの関係からどうしても中低域の周波数が失われてしまう為、プリアンプ的な回路を搭載することにより信号を補正していたらしいです。
彼の音が良いのはSVDSの恩恵が大きいらしい。
なるほど、それなら納得です。
その他にヴァン・ヘイレン、エアロスミス、ローリングストーンズ、ピンク・フロイドなどなど、この機材を使用したアーティストはかなり多かったらしいですよ。
しかし、1台約200万円というとんでもない価格だったため完全プロ仕様として広まっていたのだとか。
一説によれば販売されたのは約1000台程度だったらしい。
その後、惜しまれつつも1981年に販売中止。そのまま伝説的な機材となったわけです。
前置きが長くなりました。
今回のエフェクター製造メーカーSOLODALLASの創設者、フィル・オリビエリさんはAC/DCのサウンドに魅了され、そのサウンドを長く追及していました。
Gibson SGに始まる多くのビンテージ機材を用意して検証してもなぜか音が違う。
「もしかして、追及していたその音はSVDSによって生まれていたのではないか?」
そう考えたオリビエリさん、なんとケン・シャファーさんを探してSVDSを譲り受け、ついにアンガス・ヤングのサウンドを完全させてしまいました。
そして自分の手でSVDSサウンドを復活させるというプロジェクトに発展してしまいます。
ついにSVDSを使用した際のサウンドを完全に再現させるEX Towerなるものを開発。
販売するに至ります。
The Schaffer Replica® - EX Towersolodallas-shop.com
余談ですが、このEXTowerはエフェクターとして販売されているのでON/OFFスイッチがあります。
背面にはフットスイッチを接続できるジャックが備わっておりエフェクターのように操作が可能です。
でも...ペダルで使いたいよね...?
ってなことでペダルタイプのSTORMを完成させるに至ったというわけです。
果てのない研究の賜物がこのSTORMというペダルなわけですね。
正直なところ、オリビエリさんって人はなかなかイカれてます(笑)
もっと歴史が知りたい!って人はSOLLODALASの公式サイトを見ることをオススメします。
めちゃくちゃ面白いですよ。
STORMの実力とは
さて、今回のSTORMは正確に言えばSVDSのプリアンプ回路を完全再現したエフェクターです。
さっそく音を聴いてみましょう。
太く、それでいてギターのオイシイ部分をしっかりと前に押し出してくれますね。
全くもって目立つエフェクトではないですが、プリアンプとしては非常に優秀な印象です。
KLON CENTAURや、Maestro Echoplexなどのバッファーと同じく、いわゆる「繋ぐだけで音が良くなる」というようなプリアンプだと思います。
コントロールは3つのみ。
①BOOST / 入力レベルを調整
②LIMMITER / 光学式リミッターの掛かり具合を調整
③LEVEL / 出力レベルを調整
コントロールは非常に分かり易いですね。
ちなみに、このSTORMは幾度かのマイナーチェンジを繰り返しており、
現在はThe Schaffer Replica® - Stormという名前で販売されています。
この名前、そうです。当初の開発者ケン・シャファーの名前が入っています。
シャファーの名前とレプリカの文字を入れたということは、長年の研究の末についにシャファーさんに認められたということなのでしょう。
日々改良を怠らない、技術者の鑑ですね。
さてとペダル紹介も終わったことですし回路図を見ていきたいのですが...
随分と長くなったのでつづきは次回!(笑)
ではでは~