さて、今回は変態シリーズです。
いや~、最近は全然エフェクターを製作出来てなかったんで特別なヤツを作ろうと思います。
今回作るエフェクターはこれ
Deluxe Pitch Pirate / mid-fi electronics
https://gizmo-music.com/?pid=38562705
そうです。
前回の変態系エフェクター、Clari(not)を作り出したmid-fi electronicsの傑作エフェクター。
ジャンルは?と言われたら回答に困る逸品です(笑)
私はこのメーカーの作るペダルが大好きなんですわ。
いつもの素敵でぶっ飛んだ輸入代理店の紹介記事がこちら
前回のClari(not)でもそうですが、ここのエフェクターは最高なんですよ。
完全にイカレてるのにどこまでも音楽的で、初見で聴けば絶対に「変な音」なのに不思議とずっと弾いていたくなる、そんなエフェクターが揃ってるんですよ。
Clari(not)に関しては過去記事を見てくださいな。
まぁ、いくら文章で説明したところでこのメーカーのエフェクターは絶対に伝わらないのでまずは動画で音を確認していきましょうや!
あぁ...これや...
最初はなかなか良い感じのディレイなのに、後半はピッチがグニャグニャになってビブラートやワウっぽい音、ワウフラッターのような音が混然と混ざり合って独創的な世界が生まれていく。
これこそまさしくmid-fi electronicsですな。
さて、Deluxe Pitch Pirateをもう少し詳しく見ていきましょう。
コントロールは以下の通り。
・ Blend
・ Speed
・ Depth
・ Wave
・Delay
・ Feedback
このエフェクターは元々Pitch Pirateというエフェクターのデラックス版として販売されました。Pitch Pirateには無かったDelayとFeedbackを増設し使える幅を増やしたんでしょうね。
この面白いエフェクターの回路図はどうなっているのか。
早速見ていきましょうや。
回路図がこれ
今回はPEDAL GITAR MANIAという海外サイト様の回路図を参考にしました。
回路図は↓からダウンロードしてください。
https://pcbguitarmania.com/wp-content/uploads/2018/02/Pirate-Shift.pdf
なかなか見ない回路ですな。
一つづ詳しく見ていきましょうや。
LFO回路
動画や回路図でお気づきの方もおられるかもしれませんが、Deluxe Pitch PirateはClari(not)と結構近いんですよ。
Clari(not)は入力信号に対して内部LEDを光らせてCdSセルの抵抗値を変化させ、Delayタイムをシフトすることによりディレイ音のピッチを変化させていましたが、Deluxe Pitch Pirateでは入力信号ではなく別の回路から出力された信号で内部LEDを光らせてディレイ音のピッチを変化させています。
それがこの部分。
LFO(Low Frequency Oscillator)と呼ばれるものです。
日本語だと低周波発振器と呼ばれるようなシロモノですが、音楽の世界では古くはアナログシンセサイザーなどに組み込まれていたもの。
回路実験などでも散見されるヤツです。
デュアルオペアンプICの入力部に9V電源を入力して正弦波を出力し、周期的にLEDを光らせてCdSセルに照射することでClari(not)には無かった周期的で安定したピッチ変動が得られるという感じです。
また、LEDが2個ありますが、1個はCdSセル用、1個は表示用となっています。
こうすることでエフェクトをONにしたときにどういう周期で回路が動作しているのか視認できるようになります。
まぁ、これは見た目でしょうけどね。
信号側入力部
ギター信号側の入力部がこちら
ここもClari(not)とほとんど一緒です。
LM386(パワーアンプIC)へ入力し、増幅して出力。
Clari(not)の記事でも記載した通り、ICの1番ピンと8番ピンを接続しない場合は内部ゲインが20倍、コンデンサで接続すると200倍まで増幅します。
このICは内部ゲイン20倍でもクランチ程度には歪んでしまう為、入力直後にボリュームが設置されておりコイツを絞ることでクリーンサウンドを作り出しています。
というか歪んでしまうならLM386を使用しなければ良いのでは?と思ってしまうのですが、なぜmid-fi electronicsがLM386に拘っているのかは分かりません。
単純に他のペダルとの互換性を持たせるためのような気もしますし...
ディレイ回路
ディレイIC周りがこちら
ディレイICであるPT2399周りはClari(not)とほとんど一緒です。
ディレイタイムを操作するVCO(6番ピン)からDelay、Depthへと接続します。
ここがこの回路の個人的に好きな場所ですわ。
可変抵抗、抵抗器、CdSセルの組み合わせにより抵抗値が変化するためタイムの変動、ピッチ変化が起こります。
Depthが最大(0Ω)となった場合、抵抗値がDelayの任意の抵抗値(1~101KΩ)とCdSセルの抵抗値(0~1MΩ)との並列抵抗となり、CdSセルの抵抗値が変化することで並列抵抗値が変化し、タイムが変動します。
Depthが最小(100KΩ)の場合はCdSセルへ繋がる部分がGNDと接続されているためCdSセルの抵抗値が加算されず、任意で設定したDelay の抵抗値は変化しません。
いや~さすがですわ。
昨今ではこの手法を取り入れている国産ハンドメイドブランドもおられますが、これを約10年前から開発、製造しているmid-fi electronicsの独自性はホントに凄いですな。
さてと、回路図をグルっと回ったところで今回はここまで!
次回製作編!
ではでは~