前回の続き
まずは基板製作
今回は生基板をエッチングして製作していきます。
前回のOD-1、GorldenPearlなどではパターンが複雑でないためPtoP配線が楽なのですが、今回のような基板では複雑なパターンになるので非常に手間がかかるんです。
基板の製作手順で用意が必要な道具はこちら。
インクジェットプリンターとレーザープリンターでは印刷方法が異なる為、インクジェットプリンターではこの方法は使えません。注意してください。
私は安いラミネーターを使用しますが、ネットではアイロンを使う方が一般的?かもしれません。
まずはマガジンペーパーなどにパターンを印刷します。印刷するときはなるべく濃いめに印刷した方がうまくいきやすいと思います。試し印刷を行い、ICソケット等を当ててサイズが合っているか確認しましょう。基板作ったあとに「微妙に小さい!?」なんてなると悲惨ですからね。私は初めての時にこれやって3枚くらい基板を無駄にしましたよ…
あと表面がつるつるした紙を使用しましょう。
レーザー印刷を行ったら必要な大きさにカットします。
基板には油分などが付着しているので600番手の紙やすりで磨きを掛けます。
全体に傷がつけばOKです。水を付けるとはじかなくなります。
次に適当な大きさにカットします。
生基板は固いのでアクリルカッターを使用します。
力を入れて切るというよりは基板に当ててアクリルカッターを引っかけて溝を掘る要領で同じ溝を10回くらい削ります。
表側からも同様に削ったところで力を掛けてパキツと割りましょう。
こんな感じで不要な部分を大まかに切ります。ここで最終ラインまで出さなくてもいいです。出した方が楽ですが、後々削ることも出来ますんで。
印刷したパターンを基板の銅板側に貼りつけます。
このあと加熱するのでマスキングテープで止めておくのがいいです。ナイロンテープなどを使用して溶けてしまうと大変です。
ここからアイロン又はラミネーターで加熱します。
そもそもレーザープリンターは樹脂の粉(トナーパウダー)を熱で溶かして紙に定着させる方法なんです。それを利用して再加熱してトナーを溶かして基板側に転写させるんです。
ラミネーターは機種により厚さに制限があったりしますんで注意してください。壊れちゃうと凹みますよ...
アイロンだと最高温度でギューっと圧をかけて約30秒程度、ラミネーターは圧をかけれないので5~6回程度通します。マガジンペーパーの厚さにもよりますが、パターンが透けてくればOK。
加熱が終わったら水に5~10分程度浸けます。ここで転写したパターン以外の紙部分をこすり落とします。指で簡単に擦れますんでたわしとかは要らないですよ。
そうして出来上がったものがこちら
こんな感じで転写できればOK!
失敗した場合はマニキュアの除光液なんかで拭けば落ちますんで再トライできますよ~
ここでパターンが剥がれちゃったりした部分はマジックやレジストペンなどで修正してもOKです。逆に繋がっちゃってる場合はカッターなどで削ればOKです。
ここからエッチングにはいります。
エッチングとは、酸が金属(特に銅)を腐食させる作用を利用して、銅板に絵をかく術のこと。これを基板に転用してます。
今回の基板では転写させたパターンと生基板の銅部分があります。これをエッチング液(塩化第二鉄)に浸けることにより銅が腐食し、溶解します。パターン部分は転写したことで保護されている為、銅部分のみ溶解することで目的のパターンが得られるってな寸法です。
写真でみていきましょか。
まずはエッチング液を温めます。
エッチングを適切に行うためにエッチング液を約35~40℃にしておきましょう。厳密にこの温度でなくても構いません。私は桶にお湯を張り、エッチング液を入れた袋を入れて加熱します。エッチング液を入れた袋を触ってお風呂くらいの温度になったらヨシと思ってます。
エッチング液は原液だと腐食速度が速いので水で薄めます。1:1くらいで十分です。何度も使用できるので使用した後は保管しておきましょう。
※エッチング液(塩化第二鉄)は必ず適切な処理を行ってから廃棄してください。エッチング後には銅イオンが溶けこんでいます。銅イオンを含んだ廃液は規制対象となっていて下水に流す場合に濃度の規制があります。古くは足尾鉱山の銅廃液で公害を引き起こしたようにこの水溶液は有毒です。絶対に下水に流したりしないようにしましょう。
サンハヤトのエッチング液には廃液処理剤が付いていておススメです。説明書もめちゃ分かり易い!
エッチングの反応は様子を見ながら行います。
透明の袋などで中が見えるものを選んだ方がいいです。
10分~15分程度が目安なんですが、濃度や温度により反応が異なるので少しずつ様子を見ておきましょう。銅部分が全て溶けたらOKです。取り出して流水で洗います。
残ったパターンをについては紙やすり600番手で再度削ります。
きれいなパターンが出ていればOKです。
印刷で少し薄かったところが...まぁ導通してるしヨシとしよう...
ここからドリルで穴を空けます。
私の場合は部品が入る部分は0.08mm、配線材を入れる部分は0.1mmで空けてます。
さてここまで来たらあとは
部品をチャチっと乗せて~
はんだ付けして~
ハイ完成!
ここで音出しもやっちゃいましょう。
よし!鳴らん!
ここから原因探しに丸1日掛かりましたよ...
どうやらパターンの間でブリッジしていました。見つかってよかったよ...
さっさと修正して音を鳴らすと、
良い感じにディレイ音が追いかけきますわ~
音の感想は最後に~
ここから基板製作の便利なヤツをご紹介
加工が終わった基板にはフラックスを塗った方がいいです。
私はHAKKOのフラックスを使用してます。
白光 ハッコーFS-200 フラックス 20ML FS20001
フラックスとははんだを溶けやすくするものです。これを基板に塗ることで適切にはんだ付けが行えるようになります。必須とまで言いませんが、塗った方が確実に作業効率が上がり、またはんだ付けのスピードもあがりますので熱し過ぎて部品が壊れるなんてことも防げたりしますので。やっといて損はないです。
フラックスを塗った基板へはんだ付けが終わった後はフラックスをフラックスクリーナーで除去します。
最後にコーティング剤を塗布することで腐食などから基板を守ることができます。
私が使ってるリムーバーとコーティング剤はこちら。
サンハヤト 防湿防錆絶縁剤 ハヤコートMark2 クリアー AY-302
安定のSunhayatoですわ!
以前は私もコーティングだとかフラックスだとかやらなかったんですけどね。久しぶりにエフェクターを開けてみると基板に緑青が出ててショックでしたよ。
まぁフラックスやクリーナー、コーティング剤なんかは結構お値段がするんでご自由に。
※緑青(緑青)とは銅または銅合金の表面に生じる緑色の錆びのこと。空気中の水分と二酸化炭素の作用により生じる。
次は組み込み
ここからはいつもの通りにちゃちゃっと配線して組み込んで終わりです。
スイッチの配線はいつも通りトゥルーバイパス配線です。
配線方法はこちら
おなじみなヤツですわな。
完成!
さっそく鳴らしてみましょ!
高域がカットされたディレイ音が優しい感じでいいですね。Feedbackを最大にすると発振するんでここをモーメンタリースイッチとかで曲の最中に局所的に発信させたりしても面白いかも。今回はサイズの都合上やめますけどね(笑)
MIXつまみは最大でギター音とディレイ音が同じくらいになります。
トーンが結構良い!最大にした状態でも高音がカットされた音なんですけどどのポジションでも使えそう。
歪み系ペダルと合わせるよりもクリーンと合わせてアルペジオなんか弾く方が気持ちいいと思います。めちゃめちゃ上手くなった気がしますわ(笑)
今回はまだ塗装とかやってないんですが、塗装も完成したら写真載せます。
今回はディレイだったんですけどモジュレーション系はやっぱりおもろいすね~
効果が分かり易いし遊べるし。改造しまくるのも有りだしね。
次はキワモノ系でも作ってみようかな?需要なさそうだけど、個人的には大好物なんすわ(笑)
それじゃ次回~
さて次は何をつくろうか。
【追記】塗装したやつがこちら~
白って色が乗りにくいんで何度も重ね塗りしてようやく真っ白になりましたよ...
でもいい感じですわ~