音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【改造】カスタマイズってのは最高に楽しいんですわ

前回のつづき

t-tone-works.hatenablog.com

 

実装するで!

さて、前回製作したLandgraff Clean Boost(LCB)は改造目的で製作してました。

今回はLCBを全く違うエフェクターの中に入れてしまおうって内容になります。

 

LCBを仕込むエフェクターとは...

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デデンっ!!

誰もが知るエフェクター、みんな大好きBIG MUFF!

依頼内容は「VOLUME最大状態からさらに音を大きくしたい」ってなことでした。

楽器の音量を単純に上げようとするとクリーンブースターを後段に配置ってのがベターな考えですんでとりあえず設置してみよう。

 

 

BIG MUFFのエフェクト後にLCBを挟んでからOUTPUTするような仕様で作ります。

まずはBIG MUFFを剥いちゃいましょう。

 

内部の写真~

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ふ~む、なるほど。インジケーター付きのBIG MUFFはトゥルーバイパス配線で構成されているようですね。スイッチ側のパターンを追っていけばどういう動き方をしているかってのはわかるようになります。

 

IN/OUTPUTジャックの入力も基板を介して行っているようです。

配線材も短くて済むし、見た目もすっきりするし、非常に合理的ですなぁ。

 

さて、この基板の中でLCBを挟むために「BIG MUFFのエフェクトの後」の箇所を探していきましょう。

パターンをOUTPUT側から追っていき、スイッチ部を経由して基板に入るところを探っていきます。割とすんなり発見。

フラットケーブルの一番右端の配線部分でした。ここを外して配線します。

 

あとはケースに基板付きのポットを固定すれば完成!

ON/OFFスイッチも一応付けておきます。

どうせ改造するなら使い勝手は良い方がいいですよね。

んで配線し終わったのがこちら

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ツマミとON/OFFスイッチは ケース側面に配置しました。

まぁそんなに変更しないだろうし大丈夫でしょう。

 

もうひとつ改造があります。

これはよくあるんですが、BIG MUFFやPROCO RATとかで見るミニジャック型の電源ジャックの改造。普通ならこんな感じの変換プラグを用意する必要があります。

 

TRUETONE エフェクター用変換プラグ 1SPOT C35 ミニフォーン型

TRUETONE エフェクター用変換プラグ 1SPOT C35 ミニフォーン型

だけど、嵩張るし好きじゃないって人は多いはず。

じゃ2.1mmDCジャックに交換すればいいじゃん!ってなことでDCジャックの交換も行います。

 

DCジャックは多種多様な形状、大きさがあります。

自作エフェクターでよく使われる形状のものがこちら

マル信無線電機 取付DCジャック 2.1mm MJ-10

マル信無線電機 取付DCジャック 2.1mm MJ-10

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 コイツは端子が3つ出てるんですが、なんでこれがよく使われているのかってのには理由があります。

エフェクターはもともと9V電池を使用する設計になっており、現在でも電池又はDC電源の2WAYで使用できる仕様になってますよね。

DC電源を繋いだ時に電池も繋がっていると、せっかくDC電源入れてるのに電池も消耗することになってしまいます。

そんなとき、DC電源が入ってきたら電池を切り離す回路が必要になってきますが、それを可能にするのがこのジャックなんです。

 

データシートを見てみましょう。

http://akizukidenshi.com/download/ds/marushin/MJ10-MJ11_2.pdf

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これが内部構造なんですが、リード線を配線する端子が③④⑤になります。

 

配線方法はこうなります

③電源+

④電池スナップ+

⑤電源-

 

③の「くの字」に曲がっている部分があります。ここがミソですわ。

DCプラグを挿していない状態(画像の状態)では③と④は接触しています。

DCプラグを挿入すると「くの字」部分がプラグに押されて画像の上方向に曲がります。そうすると④との接触が解除されます。

そうすると電池スナップの+が電源回路から切り離されるので電池を消耗しません。

プラグを外せば元通りなので電池スナップ+から④、③と経由して電池電源を使用できます。

 

非常に合理的...まさに機能美ってのはこういうことじゃないかと。

あ、でもエフェクターでは電池内蔵不可ってやつも出てますし、自作エフェクターとかはあまり使わないからそもそも付けない場合が多いので。

そういう場合は+と-の2端子だけでも問題ありません。

 

ちなみに、3端子の配線はメーカーによっても端子の位置が違いますんでテスターを使用して確認してから取り付けると間違いないですよ。

 

今回はBIG MUFFに取り付けます。まずは元のDCジャックを外します。

穴を拡張するんですが、ドリル使うほどでもないのでリーマーを使います。

エンジニア テーパーリーマー 孔開範囲:φ3~12mm TR-01

エンジニア テーパーリーマー 孔開範囲:φ3~12mm TR-01

ちょっとした穴を空けるならこれで十分。穴にコイツを差し込んでグルグル回すと刃の部分が当たっている部分が少しづつ削れて穴が大きくなります。

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あとはジャックを取り付けて配線するだけ!

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私が使ってるDCジャックはマル信のMJ40です。

コイツは外側からナット締めできるのでなにかと便利ですよ。

 

 

それでは試奏するで!

やっぱりBIG MUFFは良いねぇ、どんな状況でもMUFF!って音を出してくれます。

んでClean BoostをON!

やっぱりいいねぇ、BIG MUFFの良さをそのまま持ち上げてくれる。音量はある程度でどうしても限界がありますが、音圧が上がっていくのですごく気持ちいい。

あと、BIG MUFFでは回路的にどうしても出ない低音の帯域がしっかりとブーストされてるんでソロなんかで踏めばしっかり目立つでしょう。(バンド内のサウンドメイクにもよるでしょうけど...)

 

個人的にはこういう改造大好きなんですよね~。

他人には使いこなせない自分だけのエフェクターってのがソソりますよ。

ぶっちゃけ、今回のような改造をする人はなかなかいないと思いますが(笑)

 

でもね、改造の依頼を受けるのは楽しいんですよ~

「えっ!そういう考え方もあるんですか!?」ってな感じで色々な人の感性が見れたり、一緒になって音を作り込んでいったり。

なかなか味わえないっすよ~

 

あ、言っておきますが、

改造は自己責任でやりましょう

改造されたエフェクターはメーカーが保証なんかしてくれません。

そして、改造に失敗した場合、元に戻らない可能性が多々あります。

元々の音すら出なくなる可能性だってありますんでね。

そこんとこ!よろしく!

 

 

最後に

今回ご依頼いただいたのは大阪のバンド「アバヨ」のVo&Gt今堀さんでした。

このバンド、1回見に行ったんですがスゲーカッコいい...

なんかね、全体的に攻撃的なんですけどどこか心に刺さるメロディがあるんすわ...

ってなことで公開されてるMVを紹介~

youtu.be

 今回のBIG MUFFも喜んでもらえたんでほっと一息。

ありがとうございました。

 

 

いや~ホント色んな意味で刺激されちゃいましたよ。

次はFUZZでも作ろうかな。

ではでは~