今回はFUZZ作るで!!
実は今までFUZZというエフェクターをほとんど作らなかったんですわ。
なぜかと言うと、超絶に奥が深いから...
エフェクターの中で一番深い沼なような気がしますよ。
そんなわけで今回は超個性派エフェクターのこれ!
Devi Ever / HYPERION
このDevi Ever FXはアメリカを拠点に製作しているエフェクターメーカーでして、販売している(していた)製品のほとんどがFUZZ。
なかなかのイカレっぷりですわな。
そんな中で、先日修理でお預かりしたHYPERIONの回路が結構面白かったんですよ。
まずは動画でも見てもらいましょう。
クラシックなFUZZって感じで上下をバッサリとカットしたFUZZ音が良いですね。
さらにFUZZっぽさを与えてるのがブチブチ音。
鳴らしてみてかなりお気に入りになったヤツです。
コントロールはシンプルにVOLUMEとPREGAINの2ノブ。
このエフェクター、実はMUFF KILLERって名前がついてるんですよ(笑)
中身は全然違うのにすげぇや。
私が撮影した内部写真も出しときましょう。
部品少なっ!!
これはさらに興味をそそられますわ。
さてそれじゃ回路図を見ていきましょ!
回路図がこちら
今回は回路図作りました。
なかなか不思議な回路図なんですよね~
まずはINPUTからPREGAINの可変抵抗に入ります。
ここで入力信号を制限することで増幅量を変化させてるんです。
がっつり歪ませてからギター側のボリュームで歪みを調整するやり方ですわ。
んでもって初段のトランジスタMPSA18てヤツ、こいつはハイゲイン+ローノイズってのが売りのトランジスタです。
エフェクター製作ではちょいちょいお目にかかるヤツですわ。
初段でがっつり増幅させた後になぜかコンデンサが3個????
1個はハイパスってことで問題ないが、なぜ直列に2個配置したんだ?ってなりましたが、これ実はここでのコンデンサ値を直列で調整したものと考えられる。
何言ってんの?ってなった方、問題ありませんぜ。すこ~しだけ説明しますわ。
コンデンサって部品は直列または並列で繋ぐことができるんですが、値の計算方法が少しだけやっかいなんですよ。
ざっくり言うとこんな感じ。
和分の積ってなんじゃい!ってなりますが、まぁここはそういうものと考えてください。Google先生に聞くと数学な答えが出てきますよ。
私はこんな計算いちいちやってられないんで計算サイトへビューンですわ。
このサイトは無料なんでぜひ使ってみて欲しいですわ。
そんでもって計算してみると0.1uFを2個直列に接続すると0.05uFになります。
なるほど。これは意図してこうしてるってのがよく分かる。
こういう製作者の考え方も面白いんですよ。
んで次の増幅段
どうなってんの?って言いたくなりますよね。
これはいわゆるプッシュ プル回路と呼ばれるものです。
音の波形って波のような曲線で表現されることが多いですよね?その波の中心から+側と-側に分けて別々に増幅することで効率よく増幅ができるって寸法なんですわ。
このHYPERIONはいわゆるクラスB回路です。
ここであのブチブチ鳴るサスティーンが形成されてるのでしょう。
なかなか面白い回路ですわ。
ちなみに...
エフェクターの売り文句で「クラスA回路!」なんて言ってるところがあるけど、これは少しおかしいんですわ。
このクラスってのは動作方法の違いからクラスA、B、ABなどの分類がされているだけなんですが、Aの方が優れているかといわれると少し違う。
たしかにエフェクターのトランジスタってクラスA回路として動作させることがほとんどなのは確かですがね。
クラスAってのはトランジスタを常に動作させてるので音特性については一番良いと言われてる。ただし、増幅に限界がある。
クラスBってのはトランジスタを2個使って動作を交互に行ってる。切替時のノイズなんかがある。クラスAより多く増幅できる。
クラスABってのはAとBの良いとこ取りです。交互に動作させつつ、ノイズが入らないように工夫した回路。
こんな風に分かれているのですが、どれも一長一短あります。
てなことでクラスAってのを全面に出して、さも「クラスAだからいい音ですよ!」みたいな言い方で売ってること自体がおかしいんです。
トゥルーバイパスとかも同じことが言えますよね。
エフェクター界ってオーディオ界と似ててかなりオカルトが入ってると思うんですわ。いろんな謳い文句が散在してるんで、正しい知識を持つことは結構重要なことと思います。
脱線しました。
ってなわけで回路図見てきたけど、少ない部品の中には拘りが詰まりまくったエフェクターなのがよ~く分かりました。実に面白い設計ですわ。
少し長くなったんで今回はここまで!
レイアウトとか部品表とかは次回やります!
ではでは~