音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【修理】「ジャンク品」って言葉だけでワクワクするよね

先日、某オークションサイトを徘徊していた時のこと。

ジャンクと銘打たれたあの名器が、もちろん即購入しましたよ。

それがこれ。

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そうです。

Boot-leg. Gain Helper GHP-1.0です。

過去に解析記事も書きました。

この名器がジャンク品扱いとなっているのが悲しいので、私が購入して直すことにしました。

使う予定はありませんが、何台持ってても良いペダルですからね。

過去の解析記事についてはこちらをご覧ください~

t-tone-works.hatenablog.com

 

 

状態確認

さて、ジャンク品が到着したのでまずは症状の確認。

説明には「音が出ません」としか記載がありませんでした。

確認してみると確かにON時の音が出ません。

それだけではなく、OFF時の音がなぜか小さく、若干歪んでるんですよ。

OFF時の音も変化するってのはなかなか珍しいです。

早速分解していきましょうか。

 

 

故障個所特定

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分解した見た目は特に問題なさそうな感じです。

部品もすべて定数通りに配置してありました。

 

しかし、基板のはんだ面に何やら怪しい痕跡が...

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IC周りに熱が加わった跡がありますね。

しかもICの1番PINのパッドが無くなっています。

 

私が所有するGHP-1.0の基板ではこのようになっています。

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基本的に、ICの使用しない足もはんだ付けしておくのが普通なので、パッドが剥がれている時点で怪しい。

 

 

テスターで測る

まぁ、ここまでで十中八九オペアンプが怪しいというのは分かっているのですが...

せっかく記事にするのでさらにテスターを使用して調べてみましょう。

ここからの確認方法は「自作したけど音が出ない...」なんつーときの確認方法としても活用できますよ~。

初歩中の初歩なので「知っとるわ!」って人は流してくだせぇ。

 

まず、オリジナルの基板はこのようなパターンになっています。

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さっそく電源周りのパターンの電圧を調べます。

9V電源を繋いだ状態で測るので、ショートしたりしないように注意して作業していきます。

 

まずは赤色のパターン。

ここは設計では9Vになります。

テスターの+をのパターン、-をのパターンに当てて電圧を測ります。

測ってみると9Vと出たので問題なし。

次は黄色のパターン。
ここは10KΩ抵抗2本を使用した分圧回路なので4.5Vになります。
テスターの+をのパターン、-をのパターンに当てて電圧を測ります。

ここも4.5V出てますね。

表示される電圧は周辺の部品や配線なんかが影響して若干の誤差があるんで大体合ってればとりあえずOKです。

 

次にバイアス電源が接続されているパターンを調べましょう。

回路図でいうとこの辺り。

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音声信号のラインに抵抗を介して分圧された4.5Vの電圧を与えています。

レイアウトでいうとこの辺り。

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ここは4~4.5V付近が出ているのが普通ですが調べてみると3.2Vほどしか出ていません。

やっぱりICの故障が最有力ですな。

 

 

修理

ここまでのことからオペアンプの故障が濃厚ですんで、ICのUA741CPを交換してみます。

はんだ吸い取り線ではんだを除去してICを外したのち、直付けだったIC部分にICソケットを取り付けます。

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UA741CPを取り付けて音を鳴らしてみると、スルー音、エフェクト音ともに正常になりました。

1発で直ってよかった~!

これで直らなければ振り出しに戻って調べ直しなのでね..

 

ジャンクになった原因は、恐らくはんだ付けしたときにICへ過剰に熱が加わったことで壊れてたんではないでしょうかね~

なんでICをはんだすることになったかは謎。

ICを取り換えて色々試してみたかったのかな?

 

 

完了

今回もなんとか無事終了しました。

私は修理するのが好きなんで壊れたエフェクターを見るとテンション上がります(笑)

「なんで壊れたの?」って考えるだけでワクワクしますよね。

しかし、修理には知識や技術、経験が必要な場合が多いので、どうしても直らない場合もありますし余計に壊す可能性もあります。

その辺は自己責任でやりましょう。

 

 

今回はここまで。

製作も楽しいけど、修理には一味違った楽しみがありますな~

次回も修理記事にしよかな?

ではでは~