音響効果な日々

エフェクター解析・製作するで!

【製作】CORNISH G-2-DISTORTIONが気になる

前回のつづき

t-tone-works.hatenablog.com

さっそく製作開始!

サクサク作っていきましょ~

 

レイアウト

※PDFはこちらからダウンロード可能

https://drive.google.com/file/d/120tFEU3vWpl5I_i6PDCZkycWTdaPGnIR/view?usp=sharing

 

はい、毎度の如くデカいです...

細かいのでPDFをダウンロードして見てくだせぇ...

 

今回もいつもの通り、ボードマウントポット、HAMMOND1590Bに入るサイズで作ってみました。

赤、茶、紫、橙のパターンは電源関連です。

かなり密集した基板になってしまったので、部品によっては入りづらかったり取り回し出来なかったりするかもしれません。

なるべく小さい部品を選定することをオススメします。

ちなみに、基板を小さくするメリットなんてほとんどありません。

が、私は小さい基板に沢山部品が乗ってるのを見るのが好きなもので、

レイアウトを作るとどんどん小さくなっていってしまいます(笑)

過去にレイアウトの製作方法も記事を公開してますんで参考までにどうぞ~

t-tone-works.hatenablog.com

 

 

部品一覧

今回はほとんど手に入り易い部品だけで構成されてますね~

但し、部品点数は鬼なレベルです。

抵抗器だけで43本、基板に乗る部品だけでも70点を超える状態です。

まぁ、コーニッシュさんのエフェクターなら毎度のことですね。

 

本家では抵抗器は金属皮膜抵抗が採用されていたようです。

ダイオードはゲルマニウムダイオードなので1N34Aか1N60辺りが手に入り易くてポピュラーだと思いますが、好きなヤツを選んでください。

ここはソケットにしといた方が良いです。

 

トランジスタは回路図の指定通りBC549Cを使います。

BC549Cの代替として2N3904を使用する方法も有ります。

ピン配置が逆なので代替する場合は向きに注意しましょう。

データシートで確認すると確実です。

また、トランジスタは丸ピンソケットを使用すると差し替えが出来て便利です。

こんなやつね。

1×40=40P 分割可丸ピンソケット 2.54mmピッチ 2個入 <con-073>

とにかく部品点数が多いので、買い忘れ、買い間違いが無いようにしっかり確認した方がいいですよ~

私は抵抗の値が1本間違っていて再度買いに行くハメになりましたよ...

 

 

製作

ここからはサクサク行きます。

まずは基板。毎度同じくトナー転写方式でプリント基板を作成していきます。

基板作成方法はこちら~

t-tone-works.hatenablog.com

今回のレイアウトなんですが、

ユニバーサル基板を使用したPtoP(ポイントトゥポイント)で製作することはおススメできません。

大きくて大変だし...

配線間違えたら大変だし...

せっかく完成したのに音鳴らなかったら大変だし...

基板を作り直しなんつーことになったら心が折れますよ(笑)

それでもユニバーサル基板で作る猛者の方はどうぞ~

 

んで、基板が完成したら早速部品を乗っけて基板完成!

この密林のように密集した基板、最高だわ...

 

そんでポットも付けてまずは音出し確認!

え...?なぜかあんまり歪まない...

デモの音に近いんですが、軽めのオーバードライブくらいしか歪まない...

間違えたかと思い回路図とレイアウトを確認したり、テスターで測ったりしてみましたが問題なし...

 

じつはG-2はここからが大変だったんですよ...

 

歪まないのはなぜ?

答えを探しに再びFSBスレッドへ。

そこには同じような状態に陥る自作ッカーたちの書き込みがあるではありませんか!

読み漁っていくと、どうやらダイオードが関係しているらしく、組み合わせ次第でデモのような歪みが出るということが判明しました。

 

前回記事で見たとおり、G-2の回路図ではクリッピング用ダイオードがゲルマニウムダイオード(Ge)としか記載がありません。

そのため解析段階ではG-2に使用されているダイオードだけは特定ができなかったんですよ。

これはシリコンダイオードとかと違ってゲルマニウムダイオードは外装に型番の記載が無い為、何のダイオードが使用されているか特定できないのが理由です。

写真で見るとこんな感じ。

【シリコンダイオード1N4148】

【ゲルマニウムダイオード 1N34A】

形くらいでしか判別付かないんで仕方ないですな...

エフェクターで使われるゲルマニウムダイオードは1N34Aか1N60辺りがポピュラーですが、外観はカソード側の印の色が違うくらいでほとんど一緒です。

FSBスレッド内でも様々なダイオードを組み合わせてどう変化するのかを検証したようです。

んで、「これなら歪む」「これは歪まない」といった検証結果を元に測定を行った結果、順方向電圧(Vf)の違いによって歪みにくくなっているということを突き止めました。

 

 

順方向電圧(Vf)

順方向電圧ってのは、ダイオードに対して正方向に電流を流した時に、アノード・カソード間に発生する電圧のことを言います。 単位は電圧なのでV。

エフェクターでよく使用される小信号ダイオードだと0.6~0.7V。

LEDは色によって順方向電圧が変わるんですが、一般的に使用されている赤色LEDで1.8~2V程度になります。

ざっくり言えばこの値が小さいほど歪み易く、音は小さくなります。

それに比べてゲルマニウムダイオードの順方向電圧は0.2~0.4Vと低く、また誤差も大きいです。

 

 

歪まない理由

さて、ようやく本題です。

G-2にゲルマニウムダイオードが使用されているのは確かですし、回路定数も間違っていない。

調べるうちに判明したのが順方向電圧の違い。

前項でも書いたとおり順方向電圧は低ければ低いほど歪み易くなりますが、その反面で音が小さくなっていきます。

波形の一部をカットしてるんですから「そりゃそうだ」ってな話です。

G-2では初段からクリッピングされていますが、ここのゲルマニウムダイオードの順方向電圧が低いと次段の増幅回路に必要な音量を稼げません。

そのため軽くしか歪まない状態になってしまっているようです。

 

FSBスレッドでは「最低でも0.3V以上の順方向電圧が必要」と結論付けられました。

コーニッシュさんのG-2はゲルマニウムダイオードを測定して順方向電圧の高い個体しか使っていないのではないかと思われます。

 

ちなみに、順方向電圧はテスターで測定が可能です。

SANWA デジタルマルチメータ バックライト搭載 CD771

こちらはテスター界の重鎮、sanwaさんのデジタルデジタルテスター。

取扱説明書にはこんな感じで書かれていますんで測定するときの参考までに。

 

ただ、ダイオードを大量に買って選定するのってお金が掛かるからあんまりやりたくないんだよなぁ...

 

 

今回はここまで。

次回は解決編をやっていきますよ~

ではでは~

 

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